イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

結婚しよう、ピノコくん

 
 ……わかってはいるんだよ、ピノコくん!


 「……何が?」


 僕にはもう、この人生しかないのだ!哲学に全力で打ちこむのが、僕のこの、一回かぎりの人生なのだ。それなのに、何度もそのことを書かなきゃいけないってことは、僕はまだこの後に及んでも覚悟が決まりきってないってことらしい。


 「……そうだろうね。」


 僕は、とにかく弱い人間なのだ!ソクラテスニーチェも、こういう風に悩んだことがあったんだろうか。自分でも、たまに自分で何をやってるのか、わからなくなる。哲学が好きってことだけは、間違いないんだが……。


 もう道を踏み外したんだから、気にせず突っ走るしかないってことは、わかってるつもりなんだ。でも、強い人間になりきることは、僕にはできない。僕は、どうしようもなく弱いのだ。


 デカルトは、一種の英雄だ。孤独に生きることを自分の意志で選んで、哲学の道を勇敢に生きぬいた。僕はただ、何にもなれないまま、こうして考えつづけてる。何にせよ、これが僕の人生なのだ。


 でも、最近はやっと納得できるようになってきたよ。僕は、この人生が好きだ。何が何だかわからないけど、ブログを書いて生きてる今のこの人生が、誰でもない僕自身の選んだ道なんだと思う。



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 でも、気がかりなことが二つある。一つは、僕はこれまでずっと受けてばかりだったってことだ。

 
 少しでもいいから、何かを与えられるような人間になりたいのだ、ピノコくん!たくさんいいものを贈ってもらったのに、このままじゃ借金漬けだ。返しきるなんてことはもちろんできないにしても、この点については、もう少し何とかしたいところだ……。


 もう一つは、ピノコくん、君にもこれまでずっと迷惑をかけっぱなしだってことだ。


 君にもわかってることではあるが、僕には、他の生き方ができない。君に出会った時はもう少しまともな道を歩むだろうと自分でも思ってたけど、年月が進むにつれて、ますます道を踏み外す一方だ。


 それでも、僕はなんとかこのままの道でがんばってみる。だからピノコくん、悪いけど、僕と結婚してくれないか。僕には哲学しかないし、君しかいないのだ。最後には僕と一緒にいてよかったと思ってもらえるようにがんばってみるから、君には僕と人生を歩んでほしいのだ。