イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

倫理の根源へ

危険な国

「自分自身の安全と利益のためにも、倫理法則を受け入れるべきである。」もしも人間がこのロジックだけでゆこうとすると、欠陥は、より大きなスケールで現れてこざるをえないように思われます。 いま、ある国の指導者が国民たちに向けて、こう宣言するとしま…

悪魔のひとりごと

「自分自身の利益と安全のためにも、倫理法則を受け入れるべきである。」この第一の論には小さくない利点もありますが、無視できない欠陥もあることがすぐに明らかになります。 仮に、社会を構成するメンバーの全員がこの論を受け入れたとしてみましょう。こ…

第一のアプローチ: 利益のための倫理

今回の探求では、倫理法則を一つの原則のうちに集約させておくことにしましょう。その原則とは、「あなたは、他者に害を加えてはならない」というものです。 倫理法則はふつう、「〜してはならない」という形をとりますが、とりあえずのところは、上の定式で…

倫理の根源へ

前回の探求において私たちは、「あなたは殺してはならない」という倫理の原則に出会いました。その時には、それが話の本題でなかったこともあり、そのまま通りすぎてしまいましたが、これからもう少し掘り下げてみることにしたいと思います。 人を殺してはな…