イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

本、音楽、映画

「ロリータ、わが腰の炎」   ーウラジーミル・ナボコフの小説世界へ

ところで、芸術と倫理のあいだの相克というこの問題については、暴力についで性の領域についても見ておく必要があることは、いうまでもありません。この領域においては、芸術はたえずスキャンダルを巻きおこしては、倫理の顰蹙を買いつづけてきました。 今回…

燃えゆくものはみな美しい   ー『宇治拾遺物語』と仏師良秀

芸術と倫理は、危うい均衡のうえでバランスを取りつつ、少なくとも表面のうえではつねに和平を保っています。このことの証拠としては、作品の終わりには正義がかならず取りもどされるという事実を指摘することができるでしょう。ホメロスの『オデュッセイア…

テレビジョン、アイロニー、アンダーグラウンド   ー「笑ってる場合ですよ」Y-クルーズ・エンヤ feat. 呂布カルマ

今日の記事で紹介させていただく曲については、ご存知でない方のほうが多いかもしれません。インディーズで活躍するY-クルーズ・エンヤというアーティストのソロ・アルバム、『しらくべくリゾート』から、「笑ってる場合ですよ」を紹介してみたいと思います。…

アメリカへの逆襲   ーZEEBRAさんと「Neva Enuff」の世界

今日は、北野武監督つながりということで、映画『BROTHER』にインスパイアされて作られた、ZEEBRA featuring AKTION「Neva Enuff」という曲について論じてみたいと思います。 日本のヤクザのアメリカでの活躍を描いた『BROTHER』(2001年公開)は、北野武監…

罵詈雑言のシンフォニー   ー『アウトレイジ』の美学をさぐる

「全員悪人。」先月、この映画を近所のゲオで借りてきて観て以来、ずっとどこかで書こうと思っていたのですが、これまでタイミングが見つかりませんでした。北野武監督のスマッシュ・ヒット作、『アウトレイジ』を紹介させていただきます。僕は、普段はバイ…

戦争を終わらせるための闘い   ー『日本のいちばん長い日』を観て

これは見なくては。1945年8月15日の無条件降伏にいたるまでに昭和天皇の周辺で繰り広げられたドラマを描く、『日本のいちばん長い日』です。9条のシリーズを書いている最中に広告が目に入ってきて以来、いずれ観ようと思っていたのですが、先週の水曜日に観…

ただひたすらに恐竜   ー『ジュラシック・ワールド』を観る

ここ一ヶ月のあいだはずっと政治と憲法の世界に浸かりきっていたので、次は別の領域を漂ってみたいと思います。最近はさまざまなトピックについて考えすぎたので、哲学を学んでいる者としてはこういうことを言ってはいけない気もしますが、ここ数日は、あま…