イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

核戦略と私たち

もし大阪が消滅するならば、アメリカは?   ー東アジア情勢の、むき出しのリアル

引きつづき、例の本におけるアーミテージ氏とナイ氏の言葉をたどってみることにしましょう。ちなみに、この二人とも日本国憲法第9条については、2010年の時点においても「改正するのではなく、解釈を変更することによって集団的自衛権の行使を可能にするの…

ナイ氏が提示する三つの選択肢と、アーミテージ氏が語る核兵器の使用

アーミテージ・レポートについて一通りのことを確認したので、今回からの記事では、このレポート作成にかかわったリチャード・アーミテージ氏とジョセフ・ナイ氏による、2010年当時の発言を取りあげてみることにしましょう。興味のおありになる方は、『日米…

アーミテージ・レポートから核戦略へ (付・憲法第9条とニュータイプ)

核兵器の使用について徹底的な研究を行ったハーマン・カーン博士は、『考えられないことを考える』の最終部において、次のように言っています。「われわれは、現在持っている”道具”と能力を、精いっぱい活用しなければならない。」 引用のなかの”道具”とは何…

ハーマン・カーンの悪夢の世界

『博士の異常な愛情』という映画をごぞんじでしょうか。1964年に公開されたこの映画は、鬼才・スタンリー・キューブリック監督の代表作であるとの呼び声も高い作品です。まだ観たことがないという方がいらっしゃいましたら、もしよろしければ、予告編のほう…

核戦略問題へのイントロダクション   ー9条のディープ・フェーズへ

今回の話題に入ってゆくにあたって、ひとつのエピソードを紹介させてください。 1972年5月3日、竹本忠雄という日本人が、パリからそれほど遠くない、ヴィルモラン家所有のヴェリエールの館を訪れました。ヴィルモラン家といえば、ほぼ200年ちかくにわたって…