イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

赦しについて考える

Sさんからの手紙   ー哲学のスピリット

赦しについてのシリーズを終えた日に、Sさんからメールをいただきました。とても丁寧なお礼のメッセージで、助手のピノコくんとともに、「よかったね!」と喜びあっていました。 その中でも特に心に残ったのは、次のような箇所でした。Sさんからの許可がおり…

開かれと救い   ー赦しについての考察のおわりに

私たちは聖書を手がかりにして、赦しの問題について考えてきました。最終回となる今回では、私たちの探求が見いだしたことについて、もう一度振りかえってみることにしたいと思います。 罪という言葉はとても深刻な響きを帯びていて、なかなか私たちの日常の…

赦されえないものを赦すもの   ーイエスと十字架の死

神が人間の罪を赦す。こうしたイデーについて、現代を生きる私たちがどう考えるべきかという点はとりあえず置いておくにしても、「罪を犯された当の相手が赦すことなしに、罪を犯した人間が赦されてしまってよいのか?」という問いは、どちらにしろ残るよう…

人間になった神   ー聖書のなかのイエス

「互いのあいだに対話が成り立ちえないほどの罪を犯した場合には、罪の赦しはありえないのか。」今日の記事では、真実であるかどうかという点はとりあえず置いておくことにして、この問いにたいする聖書の答えを見てみることにします。 聖書の答えは、とても…

旧約聖書と原初の殺人   ーあるいは、対話による赦しあいをもとめて

「なぜなら、互いに愛し合うこと、これがあなたがたの初めから聞いている教えだからです。カインのようになってはなりません。」 ヨハネ第一の手紙第3章11節において、手紙の作者は、読者たちに互いに愛しあうように説き勧めています。このような生き方はも…

わたしがあなたを赦すということ   ーヨハネによる福音書を手がかりに

赦しについて考えはじめるにあたって、もう一度、Sさんの問いを掲げておきます。 「他の人にたいして赦されえないほどに重い罪を犯したとして、その罪が赦されるとはどのようなことだろうか?罪が赦されるということは、そもそもありうるのか?」 Sさんの場…

読者の方からのリクエストにこたえて   ー赦しの問題へのイントロダクション

先日、ツイッター上で知り合ったSさんという方から、「赦しをテーマにして記事を書いてほしい」というメッセージをいただきました。その後、何回かのメールのやりとりを通じて、詳細について伺いました。Sさんの問題を問いのかたちにして言い表すならば、次…