イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

9条と私たち

それにしても、この呼びかけはどこから

3 アノマリーの特異性を解放する ー??? しかし、第三の道もあるように思います。9条はこれまで長い時間をかけて、みずからの特異性を解放するモメントを、時を追うごとに少しずつ失いつづけてきました。けれども、ここで、次のような問いを立ててみるこ…

いま起こっていることと、これからの選択肢   ー9条の将来について考える

絶対平和を要求する憲法9条は、国家理性の側からするならば、ほとんど理解不可能なアノマリーとして存在している。言うまでもなく、国家理性はみずからの生き残りに深くかかわってくる軍事の領域を、けっして無視することができません。その領域の中にこの…

国家理性と、絶対平和のアノマリー

国家理性という語は私たちのうちの多くの人にはなじみの薄いものかもしれませんが、それにたいして、国益という言葉のほうは広く用いられています。実は、この言葉はもともと、ヨーロッパの言語において、国家理性という語と同一のものでした。他のどんなフ…

マキャヴェリズムから国家理性へ   ー私たちの国家の系譜をたどる

私たちはまず、9条の条文を簡潔に眺めてみたあとで、その文言の解釈がたどってきた歴史と、これまでの自衛隊の活動の歴史の流れを検討してみました。そこから見えてきたのは、9条のなかにもともと宿っていたイデーが、ほとんどその当初から現実にたいする…

自衛隊のこれからについて考える

グローバル安全保障システムは、世界各国の軍隊の働きによって保たれています。ところが、このシステムのうちに、軍隊ではない軍隊としての自衛隊が加わってゆくときには、9条との関連において、必ずどこかでさまざまな歪みが生じてこざるをえません。私た…

9条と現実がぶつかり合う瞬間   ーカンボジアPKOのケース

1990年代からの自衛隊は、「グローバル安全保障システム」とでも呼びうるような秩序のうちに加わってゆくことになりましたが、ここには、ある原理的な困難がつきまとっていました。それは、武力行使を行うことができない自衛隊員たちには、このシステムの働…

世界史のなかの自衛隊

私たちは前回、9条との関係において自衛隊がどう解釈されてきたのかを見ました。「自衛隊は戦力ではなく、わが国の実力なのである。」それでは、この「実力」はこれまで、一体どのような歴史をたどってきたのでしょうか。ここでは、自由民主党の石破茂氏が…

実際のところ、どう解釈されてきたのか?   ー9条と自衛隊

「憲法からは外れているみたいだけれど、自衛隊って、とりあえずできちゃったんでしょう」。私たちはみなそのことについて、多かれ少なかれ知っています。それでは、私たちの国の政府はこの自衛隊なるものを、日本国憲法第9条2項との関係において、いった…

ワンフレーズで憲法を変える   ー9条2項と芦田修正

1946年の3月には、国民たちはすでに日本国憲法の大まかなプランを知らされており、新しい憲法にむけての期待を高めていました。そののち正式に提出された憲法案は、明治憲法のもとでの選挙によって選ばれた議員たちによる衆議院の審議において、検討される…

戦力をまったく持たないはずの国   ー9条の条文を読んでみる

まずは、9条の条文を見てみることにしましょう。この条文は、二項に分かれています。 ① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを…

憲法第9条へのイントロダクション

① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国…