イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

哲学とは

  まず、哲学とは何かということについて、考えてみたいと思います。このことについてはとても多くの定義があります。ここでは、「哲学とは、よりよく生きることをめざして考えることである」と言ってみたいと思います。
 
  
  哲学とは、よりよく生きることをめざして考えることである。哲学は、善をめがけて進んでゆく。考えることによって、昨日よりは今日、今日よりは明日が、前よりもよいものになってゆくように気づかう。これが、ギリシア人がペリアゴーゲー、つまり、魂の向け変えと呼んだものです。人間の生き方そのものを向け変えるといってもいいと思います。
 
 
  人生は、じっさいに行動を起こすことによってもよくなってゆきます。けれども人生は、物事がどうなっているのか、世のなかとは、よい生き方とはなんだろうということを考えることによってもよくなることがあります。人間の場合、じつは行動することによって生き方がよくなるよりも、考えることによってよくなってゆくことのほうが多いのではないでしょうか。
 
 
  今までの人生を振りかえった時には、親しい人たちと話したことや、誰か尊敬している人から言われたことが生き方を変えたという体験は、誰にでも思い当たることだと思います。そのとき自分の内側で起こっていたのは、考えるという行為だった。魂を向け変えるような言葉は、人間のあり方の奥深くにまで働きかける。考えることによって、人は今までとはちがう人間になる。誰もが、そういう体験を繰りかえすことによって自分を形づくってゆくのだと思います。
 
 
  哲学は、このようなペリアゴーゲーの体験をめざします。哲学という活動をしていると、「物事の仕組みは、こんなに簡単なことだったのか!」とか、「今までの見慣れていたものが、全然ちがうものに見えてきた!」というような体験に何回も出会います。それはいわば、その場で新しく生まれ変わるようなものです。
 
 
  このことによって、人生はとてもすばらしいものになるし、喜びに満ちたものになる。疑いなく、哲学は人生をよいものにしてくれるものだ。僕は10年間哲学を勉強してみて、このことだけは自信をもって言えると思いました。哲学者としてこの社会のなかでどう生きてゆけるのかを、これから考えてみたいと思います。
 
  
  このブログを読んでくださって、ありがとうございます。自分自身が探し求めていることについてよい手がかりを見つけたり、読んでいて、それはその通りだとか、この点は違うと思うとか、なにかを考えるきっかけになれるとしたら、とても嬉しいです。