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イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

不朽の名曲、『LOVEマシーン』   ー連休のおわりに

音楽について 本、音楽、映画
 
 今日で連休も終わりです。ここまで来たら、最後の日もつんく♂さんに捧げることにします。締めくくりとしては、これしかないでしょう。一定以上の年齢の方なら誰でも覚えているであろうモーニング娘。のあの名曲、『LOVEマシーン』です!
 
 
 つんく♂さんがモーニング娘。のメンバーたちとともに、怒涛の快進撃を開始するきっかけになったのが、この曲です。それ以前の『抱いてHOLD ON ME』なども一定の人気は博していましたが、モーニング娘。が国民的アイドルにのし上がっていったのは、やはりこの『LOVEマシーン』が持っていた起爆力が大きいでしょう。その後のモーニング娘。が驚異的な勢いでつぎつぎにヒット曲を飛ばしつづけたところを見ると、つんく♂さんは、この曲を作りあげることによって何か根源的なインスピレーションを掴んだように思われます。さて、さっそくこの曲の分析に入ってみることにします。
 
 
 イントロの踊りですが、モーニング娘。のメンバーたちは、とても楽しそうに踊っていますね。『LOVEマシーン』のAメロの歌詞の最初の部分は、次のようになっています。
 
 
 あんたにゃ もったいない (fu- fu-)
 あたしゃ本当 NICE BODY BODY BODY
 
 
 昨日の『恋愛レボリューション21』と同じく、攻めるようなメロディーラインです。しかし、ここでは歌詞の方もなかなか挑発的です。この曲は、その後にメンバーとターゲット層が低年齢化してゆく前の、「OLのお姉さん的アイドルグループ」としてのモーニング娘。のポテンシャルを存分に発揮しています。
 
 
 「職場にいそうなお姉さんたちが、歌って踊って元気よく日本社会を盛りあげてゆく」というコンセプト。こののち、モーニング娘。のみならず、この国のアイドルたちは、ほぼ例外なしに低年齢化のプロセスをたどってゆくことになりました。少なくとも、今はこの『LOVEマシーン』ほどにお姉さん感を強く押しだしてゆく曲は出てこないので、この曲のPVはいまや、この国における大衆的なイメージの歴史の記録として、とても貴重なものになっています。
 
 
 それにしても、「NICE BODY BODY BODY」における単語の連呼は、音楽的な観点からみて、なんと心地よいことでしょうか!のちの「恋はDYNAMITE」における「DYNAMITE」や、昨日の「超超超 いい感じ 超超超超いい感じ」もそうですが、つんく♂さんは、反復による快感を引きだすのがとてもうまい人だと思います。反復の気持ちよさはとても原始的なものですが、恐れずにそこに踏みこんでゆくと、底抜けに楽しい世界が広がっています。Bメロについても、少しだけ見ておくことにしましょう。
 
 
 
 
 
 
 どんなに不景気だって 恋はインフレーション
 こんなにやさしくされちゃ みだら
 明るい未来に就職希望だわ
 Woo wow wow wow
 
 
 「どんなに不景気だって  恋はインフレーション」というフレーズは、現実に立ちむかうエンターテインメントの栄光を証ししているように思います。バブル崩壊後の暗い雰囲気の中、モーニング娘。たちは、時代の状況にこたえて、下がり気味のムードを打ち破ってくれました。ちなみに、この部分の二番の歌詞は、「そんなの不自然だって  恋のインサイダー」になっています。天才ですね……。
 
 
 次にくる、きわめてオヤジ的な歌詞(「こんなにやさしくされちゃ  みだら」)は、つんく♂さんの趣味という空気も漂っていますが、カラオケではとても盛りあがりそうです。ここでの中澤裕子さんは、水をえた魚のようですね。そして、「明るい未来に就職希望だわ」。当時の日本の人びとの気持ちが託されているともいえるワンフレーズです……。さて、あの伝説的なサビのほうに移ることにしましょう!
 
 
 日本の未来は(Wow Wow Wow Wow) 
 世界がうらやむ(Yeah Yeah Yeah Yeah) 
 恋をしようじゃないか!(Wow Wow Wow Wow)
 Dance!Dancin' all of the night
 
 
 日本中の老若男女をウォウウォウと踊り狂わせた、とても懐かしいサビです。すべての人が無我夢中で踊っているというのは、人類がおそらくこれからも永遠に見つづけることをやめないであろうイメージで、民衆の想像力のとても深いところに触れています。
 
 
 幕末の「ええじゃないか」は、鎖国が終わったことによる不景気と不安に誘発されて引き起こされましたが、この『LOVEマシーン』がバブル崩壊後のタイミングでブームを巻き起こしたということは、とても示唆的です。とにかく、踊ればなんとかなる!二番の歌詞も、作詞したつんく♂さんの優しさが見えるようでとても好きなので、ここに挙げておくことにします。
 
 
 あんたの笑顔は(Wow Wow Wow Wow) 
 世界がうらやむ(Yeah Yeah Yeah Yeah) 
 夢があるんじゃないか!(Wow Wow Wow Wow) 
 Dance!Dancin' all of the night
 
 
 僕も、自分の将来のことで不安になることがしばしばありますが、こういう風にフォローされてしまうと、もう涙が止まりません……。しかし、最後のサビのパートを聴いていると、「モーニング娘。も、あんたもあたしも、みんなも社長さんもDancin' all of the nightのスピリットで乗り切ってゆこう!」という熱いメッセージがじんわりと伝わってきます。ここはもう、ひとつ騙されたと思って、モーニング娘。の言うことを信じてみてもいいのかもしれません……!
 
 
 歌は、その時代が求めているものを映しだしながら、同時に聴く一人一人の人生を映しだすときに、本物の流行歌になります。20世紀の終わりのこの国と、そこに生きる多くの人たちの期待を背負いながら歌って踊ってくれたモーニング娘。のメンバーたちと、この三日間のあいだお世話になりつづけたつんく♂さんに、最後に感謝を捧げさせてください。つんく♂さんは最近、ご病気を乗りこえられたようですが、どうか、これからも聴く人を元気にさせてくれる音楽を作りつづけていただきたいと思います。
 
 
 さて、今日で連休も終わりです。つんく♂さんと松浦亜弥さん、モーニング娘。のメンバーたちからはたくさんの元気をもらったので、明日からまた仕切り直しでゆきたいと思います。連休最終日ですが、よい一日をお過ごしください!
 
 
 
モーニング娘。 LOVEマシーン つんく
 
 
 
(Photo from Tumblr)