カフェでの会話のなかでいちばん印象に残ったのは、Nさんの次のような言葉でした。
「とてもきついけれども、今の仕事にはとても大きいやりがいを感じています。耐震関係の仕事は、ずっと自分でやってみたいと思っていたものだったから。これから資格も取って、やれることを広げてゆきたい。耐震の仕事は、相手から目だって感謝されるものではないけれど、絶対に必要なものだと思うと、辛くても頑張れるんです。」
この言葉は僕にとって、当たり前ではあるけれども、とても重要なことに改めて気づかせてくれるきっかけになりました。Nさんが言ったことは、働くことの本質に触れているように思います。
ヘーゲルという哲学者は、働くことは、内なるものを外化することだと言っています。人が働くことのうちにやりがいを感じるためには、仕事がその人の内なるものを表現している必要があります。会話したり、文章を書いたり、図面を引いたりすることのうちに、他でもない、その人自身の自由な精神の働きが現れてくる。この社会のなかで喜びを感じながら生きてゆくためには、自分なりの「内なるものの外化」のスタイルを築きあげてゆくことがきわめて重要です。
そして、そのようにして外化した内なるものは、他の人たちにとっても役に立つものでなければなりません。自分だけが「これでいいのだ!」と思っていても、それが社会に受け入れられなければ、お金を稼ぐことはできません。
仕事をしてお金をもらえるということの最も根底的な基礎は、それが他の人びとの役に立っているということのうちにある。そう考えてみると、お金というものは、内面的なものと外面的なものとのつなぎ目であるということにもなってきます。いずれ、このブログでもお金について、一度きちんと哲学的に考えてみる必要がありそうです!
本題に戻ります。やりがいを感じながらお金をもらって働くということのうちには、人間の最も重要な本質があります。
「働くことは、すばらしい。」働くことについては、個人のレベルだけではなく、社会の全体で問題を提起してゆくべきこともありますが、その場合にも、働くということの根本のところをしっかりと掴みとっておくことが必要なのだと、Nさんの言葉に教えていただきました。今回のシリーズでは、「自由な言論空間!」という点を少し強調しすぎてしまった気もしますが(しつこくなってしまい、申し訳ありません……。)、日本人が働く環境というテーマについては、これからもさまざまな人と対話しつづけてゆきたいと思います。
実は今回のシリーズがきっかけとなって、先週の土曜日には、善福寺で開催されていたブラック企業についての勉強会に参加させていただきました。ゲストとして弁護士の方をお招きして、その方のお話をうかがいつつ、後半には参加者全員でディスカッションをするというものでした。議論もかなり白熱して、「こういう機会があるならば、ぜひまた行かなくては……!」と感じさせられました。この「日本ホワイト化プロジェクト」も、これから新たな論点を組みいれていってアップデートしつつ、時おりこのブログでまた取りあげることにします。
今回のことでは、時間を割いて会っていただいたまりおさんとNさんに、感謝してもしきれません……。ちなみに、The 3rd Cafeでおごっていただいてしまったアイスクリーム「クレミア」については、あとで改めて食べにいった助手のピノコくんともども、めろめろのファンになってしまいました!それはともかくとして、その節には若者論や音楽の話、アイドルトークなど、今回はカットしてしまったお話も含めて大いに盛りあがったので、次の機会にまたお話させていただけるのを楽しみにしています。今回は、本当にありがとうございました!
読んでくださって、ありがとうございました!よい日曜日をお過ごしください。
(ももたろうくんも、毛は茶色ですが、ホワイト化を応援しています!)