前回までで、私たちは恋についての考察をひととおり終えました。筆者としては、この後の人生でもう恋に落ちることはないだろうと思っているので、とりあえず、恋というイデーについては、この人生ではこれくらいでいいかなという気がしています。
「生きることは、いつでも、その時々にかなって美しい。」
それぞれの時期にはそれぞれの課題があって、人間はそのたびごとに全力を尽くして目の前の問題に取りくんでゆく。哲学者として、過ぎ去ったものについて考えるというつとめは果たした以上、間をおかずに次のつとめに向かってあゆみだすべきなのでしょう。
助手のピノコくんですが、フランスの田舎での生活にはだいぶなじんだようです。ジブチからの留学生の同僚や、日本から来ている同国人たち、フランスの教授や学生たち、それに、日本人女性を誰彼かまわず狙いまくる(!)悪名高い哲学徒のフランス人などに囲まれつつ、語学と文学を学んでいます。
僕のほうはといえば、大学を辞めたのちも、友人との対話などに打ちこみながら哲学の勉強をつづけています。そんなことで大丈夫なのか、これから先の人生はどうするんだという問いについては、次のシリーズで考えてみることにします。読んでくださって、ありがとうございました!