いやいや、九死に一生を得たのである!天に感謝である!
「……CTスキャン、行ってきたんですか?」
うん。S先生のクリニックとは別の施設でCTを撮った後、本当は五日後に診察のはずだったんだけど、GRBのジェームズ(前回の記事参照)のことで死の病の恐怖に取り憑かれてちびりそうだったから、急遽クリニックに電話してスキャンの結果だけ聞きに行ったのである。心が解放されたのである!
「……てことは、結果は問題なかったんですね。」
うむ。確証はできないのだが、どうやら、ジェームズのあたりにちっちゃな結石ができていた可能性があるようなのだ。検査してもらった僕のプリチー・トイレッティング・ウォーターの中から、リン酸塩が検出された。
「トイレッティング・ウォーター?またしてもわかりにくい言い方ですが、それって、ひょっとしてションべ……」
その通りだが、品位を保とうではないか、君!イケメン敏腕医師のS先生によれば、リン酸塩というのは、石の成分らしい。
CTスキャンで見た僕の下腹部には、何も映っていなかった。おそらく考えられるのは、ワトソン君、一昨日診察してもらったあたりのどこかのタイミングで、小石は僕のトイレッティング・ウォーターを通してすでに体外に排出されてしまったのではないかということだ。僕を苦しませた忌まわしい小石の行方は今となっては知るべくもないが、とりあえず、僕の方は痛みも去ってひと安心というところだ。
……かえすがえす、今回のことでは日々の健康に感謝なのである。目の調子はあんまりよくないし、逆流性食道炎も微妙に続いてはいるけど、とりあえず僕は生きている。本当にこれで一難去ったのかどうか、まだ確定したわけではないが、こうして今日も生かしてもらっていることには、ありがたいとしか言いようがないのである。
また、今回のことでは、医学の重要性についてあらためて思い知らされた(デカルトがこの点を強調していたことにも腹落ちである)。ジェームズのあたりが炎症を起こしている可能性があるということで、先ほど、セルニルトンなる錠剤を薬局で出してもらった。僕たちの健康は医学によって守られているのだなぁという事実を、今さらながら再びアレーテイアさせられたのである。
ただし、惜しむらくはこの三日間で15000円を超える出費がかさんでしまったことであるが、この身と心を切り裂くような金額も、たまの出費ならぬタマタマの出費ということで一件落着とするほかなさそうである。今回も実に難儀な事件だったが、ワトソン君、せめてもの教訓として、まことに健康はいかなる富よりも貴重なりという金言を、いま一度じっくりと噛みしめようではないか……!