イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

日常

最近の状況

しばらくただひたすらに哲学の議論を続けてきたので、少し自分自身の近況についても書いておくことにします。 ここ3〜4ヶ月の間に人生が動き、とりあえず向こう数年は教育の仕事に携わることになりそうです。以前と変わらず、個別指導で小学生〜高校生と関わ…

キャンディーズ『暑中見舞い申し上げます』

やはり、一曲だけでもキャンディーズの名曲を紹介させていただきたいという思いを抑えることができません!季節はもう夏ということで、FINALサマーチューン『暑中見舞い申し上げます』を分析してみることにします。うーわお! キャンディーズ/暑中お見舞い…

『ロトの紋章』

物事の自然な姿は究極にあるとアリストテレスも言っているので、いきなりではありますが、愛の究極のかたちについて考えるところから考察をはじめてみます。 「与える愛とは、究極のところでは、見返りを求めない愛である。」 通常の人間関係においては、ギ…

人生の停止状態のおわりに

そういうわけで、そろそろ、自分の人生を再開させてみることにしようと思います。低空飛行&低速運行が原則であることは、もはや付け加えるまでもなさそうですが……。 それにしても、筆者はこれまで救いの哲学を追い求めつづけてきたけれど、誰よりも救われな…

持病についての、とりあえずの結論

ここのところずっと逆流性食道炎について書きつづけてきましたが、そろそろさすがに総括しておいたほうがよいような気がしてきました。 「苦しみがなくなることよりも、苦しみがあっても幸せに生きることをめざすべきなのではないか。」 これはよく言われる…

人生のスウィートな停止状態

前回の記事を書いたら、なんだか急に楽になったよ、ピノコくん。僕はおかげさまで、とってもいい気分だ。朝日を浴びて輝いている、小川の流れのように……。 なんというか、人生のスウィートな停止状態とでもいおうか。もう全部いい、これからは完全に本音だけ…

またしても行き詰まる

ピノコくん。いきなりだけど、僕はいったん全部のことについて、頑張るのをやめたい。もうやる気が出ないんだ。頑張ることそのものに疲れたんだ。 「……そうみたいだね。」 前回の記事を書いてから二週間、何もする気がしなかった。君も知っての通り、4月に…

肯定するべきものは……。

昨日の一日をかけて考えてみて、発見したのだ、ピノコくん。僕は「人間はよく生きるために苦しむことが必要か」という問いを立てていたが、ひょっとするとこれは、問いの立て方自体が間違っていたのかもしれない。 「……なんで?」 よく考えたら、僕には苦し…

全部やめてしまいたいけれど

ここで対話という主題を離れて、次の論点について考えてみることにします。 「生きることとは、その人に与えられた苦しみを生きぬくことなのではないか。」 苦しむことからは誰でも逃れたいと思うのが普通です。そして、もし苦しまなければならない場合でも…

蓋然性と絶対性

奇蹟のほうに話を戻しましょう。 「奇蹟は、それを目撃したり、体験したりする人びとに、たった一度の出来事のみによって、それがまさに奇蹟であると信じさせる。」 自然科学においては、基本的には事象の反復にもとづいて理論が組み立てられてゆきますが、…

結婚しよう、ピノコくん

……わかってはいるんだよ、ピノコくん! 「……何が?」 僕にはもう、この人生しかないのだ!哲学に全力で打ちこむのが、僕のこの、一回かぎりの人生なのだ。それなのに、何度もそのことを書かなきゃいけないってことは、僕はまだこの後に及んでも覚悟が決まり…

二者択一の脱構築

「キリストの方に突っ走りすぎたら、誰にも読んでもらえなくなるんじゃないの。」最近、助手のピノコくんからこのように言われることが、たびたびありました。確かに、先月の『メシア入門』では、かなりディープなところにまで、わき目もふらずに突っこんで…

リトアニアの思い出

個人的な話になってしまいますが、万物の終わりというテーマについては、去年の春のポーランド・リトアニア旅行のことを思い出さずにはいられません。 この旅行は、クリスチャンの人とクリスチャンでない人が合わせて30人ほど参加した団体旅行で、僕は助手の…

同志を求めつつ……。

最近、筆者は、聖書のマニアックな話で盛り上がることのできる知り合いが少ないことに悩んでいます。 私見にはなりますが、世界のあらゆるジャンルの本を読みあさったのち、筆者自身は、「聖書こそ、魂の救いという観点からのみならず、面白さからみても最強…

最近の反省

……しかし、ピノコくん。僕には反省するべき点がひとつあるように思う。 「……ひとつ?」 いや、そりゃ無限にあるわけだけど、その内のひとつということであって!すでに何度か書いたけど、ここのところ自分の悩みについて書きつづけているけど、世の中には自…

昨年末に言いそびれたこと

[新年、明けましておめでとうございます。みなさま、2017年もよろしくお願いいたします……!] ピノコくん、今年もよろしく!まずは、昨年末に言いそびれてしまった話題があってね。 「……何?」 それは、個人的なことというよりは一般的な話に広げてみたいこ…

「……考えてみた?」Take2

「……考えてみた?」 うん。いろいろ考えたけど、やっぱりこの世のことは、いったん全部あきらめることにするよ。 「……。」 いや、ふてくされるわけじゃなくてね、変に頑張ろうと思うと、僕はまた自分で心身を壊す気がするんだ。自分でもコントロールがきかな…

「……考えてみた?」Take1

「……考えてみた?」 もちろん、考えてみたよ。でも、もうどうしようもないよ。去年にぶっ倒れて、一年かけてやっと回復して、もう一度頑張ろうとしたら、すぐまたぶっ倒れたんだもの!昨日は、ふとんに食べられる夢をみたよ……。 「……。」 もういいんだ、ピノ…

この人生の目的

三日のあいだ考えてみましたが、やはり、問題のひとつには、このブログにおいて自分の人生の目的をはっきり書いておかなかったことがあるようです。 「イエス・キリストのことをこの世に伝える。」 前回の記事で少し書きましたが、僕は今年の2月か3月に、…

深夜に目が覚めて

なんか、思い出したよ。 「何を?」 今年の2月だか3月だか忘れちゃったけど、アルバイト先から電車で帰ってるときに、「僕はこの世に生まれてくるべきではなかった」って、本気で思ったんだ。そういう風に考えちゃいけないっていうのも思ったけど、その時…

これ以上できません……。

この文章を書いてるのは、12月9日、AM8:07だ。今日も、食道炎のせいで二時間も寝れなかったんだ、ピノコくん。ショパンを聞く気にすらならず、ただ部屋で布団にくるまって、絶望していた……。 「……。」 やっと気づいたんだ。僕は、何もできない人間なんだ。何…

ごめんよ、ピノコくん

「あれ?どうしたの。」 ピノコくん。君も知っての通り、前回の記事を書いたあと、僕はもう一度、心身ともにぶっ壊れた。やっぱり、この一ヶ月くらいのあいだ、例のアンダーグラウンドのことで頑張りすぎたんだと思う。僕はどうやら、自分で言ったことのせい…

アンダーグラウンドについての探求のおわりに

前回までで書きたかったことはすでに書き終えたので、今日はお休みの意味もかねて、短く記事を閉じることにします。出演してくれたジェイコブさん、ゆたさん、Tさん、そしてピノコくん、今回はありがとうございました! LES DEMERLE / UNDERGROUND シリーズ…

「それで、結局?」

「それで結局、philoは世に知られたいの、知られたくないの?」 そりゃTさん、本音を言えば、いつかは知られたいですよ!でも、だんだんわかってきましたが、これは本当に雲をつかむような話です。遠くに見えてる蜃気楼を、砂漠で一生追いかけて終わるよう…

サブウェイでいつまでも

もともとは、アンダーグラウンドで活動しながらどうやって世の中に哲学のメッセージを発信してゆくかという問いのもとにはじめたのですが、前回の記事を書いたあと、どうもよくわからなくなってしまったような気もします。 いちばん大切なのは、まぎれもなく…

ラーメン屋さんと孟子の教え

ところで、哲学のアンダーグラウンドなるものについて話をしていた時に、年上の哲学徒の友人であるジェイコブさんから、次のように言われました。 「でもね、philoさん。あなたの話を聞いていたら、昔、好きだった新宿のラーメン屋さんのことを思い出しちゃ…

ピノコくんからの、手痛い一言

今回の探求をはじめるきっかけになったのは、このブログをいつも手伝ってくれている助手のピノコくんからの、次のような一言でした。 「あなたが何を主張したとしても、哲学の世界ではまともに受けとってもらえないよ。あなたは、大学院をやめただけの単なる…

哲学は何のためか

このあたりで、哲学者とお金の関係というはじめの話題に立ち返ってみることにします。すると、哲学者はここで、一つのアポリアの前に立たされている自分自身を見いだすことになります。 「すべてのものを振り捨てて、ただ真理だけを追い求める。」なるほど、…

筆者の状況

ある女性漫画家の方が、次のように書いていたのを思い出します。「お金がないのは、首がないのと同じだもの。」なかなか強烈ですが、一度聞くとけっして忘れられないフレーズです。 お台場あたりの海が見えるタワーマンションに住めなくてもいい。表参道の内…

恋愛についての考察のおわりに

前回までで、私たちは恋についての考察をひととおり終えました。筆者としては、この後の人生でもう恋に落ちることはないだろうと思っているので、とりあえず、恋というイデーについては、この人生ではこれくらいでいいかなという気がしています。 「生きるこ…