イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

ただひたすらに恐竜   ー『ジュラシック・ワールド』を観る

 
 ここ一ヶ月のあいだはずっと政治と憲法の世界に浸かりきっていたので、次は別の領域を漂ってみたいと思います。最近はさまざまなトピックについて考えすぎたので、哲学を学んでいる者としてはこういうことを言ってはいけない気もしますが、ここ数日は、あまり考えなくてもいいものに触れていたいところです……。
 
 
 というわけで、『ジュラシック・ワールド』を観てきました!二子玉川の109シネマズまで出かけて行ったのですが、はじめてIMAXシアターなるものを利用してみました。これだと料金はすこし高いのですが、画面や音などがひと味違うそうです。
 
 
 IMAXシアターの中には、夏休み中の子供たちもたくさんいました。彼らだけではなく、シアターの座席についているおじさんもおばさんも、おじいちゃんもおばあちゃんもみな、恐竜たちが暴れ狂うのを今か今かと待ち望んでいる様子です。『ジュラシック・パーク』シリーズとは、子供のころに一作目を観にいったころからの付き合いなのですが、3Dで観るのははじめてなので、とても楽しみです。
 
 
 ストーリーは、もちろんいつもと同じです。「海に浮かぶ島の上に作られた、ジュラ紀の世界を体感できる夢のテーマパーク。人びとはそこで、あくまでも安全に、DNA技術によって現代に蘇った恐竜たちとの触れ合いを楽しむことができるはずだった。しかし……」
 
 
 言うまでもなく、見に来ているお客さんたちのなかで、独創的なストーリー展開を期待してやって来ている人は一人もいません。プロットのなかで育まれてゆく、うるわしい兄弟愛やステキな男女の恋愛も、それはそれでとても楽しめます。自然と人間の関係を深く問いなおすメッセージについても、重く受けとめる必要がありそうです。しかし、ことの本質はそうしたところにはないことを、その場にいる誰もがよくわかっています。恐竜、ただ恐竜だけが……。
 
 
 ハリウッドの製作陣もまた、そのことを知りぬいています。「そんなに恐竜が見たいなら、最高の恐竜を見せてやる。」そして、こういう仕事を任せられた時のハリウッドは、けっして的を外すことはありません。彼らは観客の期待に見事に応えて、実にすばらしい恐竜を見せてくれました!
 
 
ジュラシック・ワールド
 
 
 今日は、これだけで記事を終わりにしてもいいくらいなのですが、一応、もう少しだけディテールについて書き加えておくことにします。(以下、ネタバレはなるべく抑えてありますが、本編の内容にかかわりますのでご注意ください。)
 
 
 3Dメガネをとおして見ると、体長10メートル以上のモンスターに食べられる人の気持ちが、とてもよくわかりました。子供のころに観たときでも、あれほど強烈な臨場感を感じなかった気がします。「3D、恐るべし」というところに落ちつきそうです。
 
 
 今回の目玉は、遺伝子技術の粋を集めて作られた最凶最悪のハイブリッド恐竜、インドミナス・レックス(♀)です。「彼女」は映画のなかで、くり返し殺人マシーンと呼ばれていますが、この恐竜が縦横無尽に荒れ狂う姿は、まさしく悪夢そのものであるといえます。イカやアマガエルなどのさまざまな動物のDNAを併せもつインドミナス・レックスは、並はずれて大きいだけでなく、運動能力もきわめて高く、異様に高い知能までも持ち、おまけに擬態能力まで備えているというパーフェクトぶりを誇っています。子供たちも大はしゃぎしていた夢のテーマパークは、食べるためではなく狩りを楽しむために他の生き物を襲いつづける「彼女」の暴走によって、とり返しのつかないかたちで崩壊を迎えてゆきます……。
 
 
 翼竜園のガラスが壊されて、無数のプテラノドンやディモルフォドンが飛び出してからのパークは、もはや阿鼻叫喚の様相を呈します。翼をもった小さな悪魔たちがつぎつぎに空中から襲いかかるなか、逃げまどう観光客たち。恐怖の叫びがいたるところに上がりますが、プテラノドンたちはますます猛威をふるって暴れまくるばかりです。
 
 
 あのインドミナス・レックスは、たとえロケットランチャーで攻撃されたとしても、全くひるむことはありません!「彼女」を倒すために駆けつけた警備員たちの生命反応は、モニターのうえからつぎつぎに消えてゆきます。そして、「恐竜を新型の兵器として軍事産業に利用してやろう」ともくろんでいた悪役の男は、主人公たちの前で調子に乗ってしゃべっているうちに、自分が手なづけようとしていたラプトルにとつぜん襲われてしまい、殺さないでくれと必死に命ごいをするのですが、もちろん闘争本能に燃えたっている恐竜に人間の言葉などが通じるはずもなく、けっきょく……た、た、た、食べられ……あわわわ、恐ろしすぎて、これ以上は書けません!
 
 
 というわけで、大変にスカッとする、いえ、恐ろしい映画でした。レビューの結論として言えるのは、くり返しになってしまいますが、「もし荒れ狂う恐竜をみて大興奮したいのならば、その時には映画館にゆくことをおすすめします」ということに尽きるかと思います。その望みは必ず、スクリーンで存分にかなえられることでしょう。最後に、ネタバレになってしまうのでここで詳しく書くことはできませんが、最後の十分間の展開は圧巻です!
 
 
 
 
 
[予告編を貼っておきますので、興味のある方はご覧ください。インドミナス・レックスちゃん以外ではとくに、大きな海竜、モササウルスがイチオシの恐竜です!]
 
Jurassic World / Trailer
 
 
 
(Photo from Tumblr)