イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

ウェンディ、君は残酷だ

 
 しくしく。昨日の晩から、胃腸の調子がよくないのである……。
 

 「……大丈夫ですか?」
 

 多分、大したことないんだとは思うんだけどさ。こんなこと言われてもうっとうしいだけだろうけど、僕は、ものすんごい不安症なのである。ひょっとしたら死の病に侵されてるんじゃないかと思うと、心配でならないのである。
 

 「……。」
 

 一昨日、ウェンディーズハンバーガーを食べてしまったのが間違いだったのである!一回も食べたことなかったから、つい調子に乗って冒険してしまったのである。人気NO.1って書いてあったからウェンディーズバーガーを食べたんだけど、結構おいしかったのである。だが、なぜかハイテンションで午後4時という謎のタイミングで食べてしまったこともあって、僕の胃腸はそれには耐えられなかったらしい。
 

 なんでこんなに心配なんだろう。死の病(色んな病気の名前を出すのも怖いのである)にかかってるんじゃないかって思うと、もうそれしか考えられなくなる。昔からそうだったけど、六年くらい前から特にその傾向が強いのである。とにかく不安なのである。
 

 キリストについて書こうと思っていたが、僕の胃腸が心配すぎてその余裕がないのである。こんなことでは不甲斐なさすぎるのはわかってるけど、主に泣きながらおすがりする他ないのである。おお、肉厚のハンバーガーよ。赤毛のウェンディちゃんのまぶしい笑顔に、まんまとたぶらかされたのである……。
 
 
 
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 冷静に考えると、悪いのはイメージキャラクターのウェンディちゃんというより、日比谷ゴジラスクエアの片隅でノリノリで巨大ハンバーガーを食べまくった僕なのではあるが、それにしても、過去の先人たちには頭が上がらないのである。
 

 たとえば、パスカルである。パスカルの人生のほとんどは、病気の苦しみのうちにあった。パスカルはその苦しみの中でキリストを求めつづけ、書きつづけた。『パンセ』における哲学的考察はおそらく、この苦しみなしには生まれなかったに違いないのである。
 

 僕にはまだ、苦しみに勇敢に耐えぬく勇気はないのである(ある人の方が珍しいというのも一面では確かでもあるが)。
 

 しかし、アウグスティヌス先生は声が出なくなり、三浦綾子先生も数々の病気に耐え、パウロ先生にいたっては複数の持病に加え、鞭打ちその他の苦痛をもものともせずにキリストを宣べ伝えつづけたことを考えるとき、本当はこんなことで泣き言を言ってる場合ではないかもしれないと反省させられるのである。でもまだ、胃腸のことがちょっと心配である。あと数日は、僕の胃腸のことをやさしく気づかうほかないのである……。