「……はぁ。」
YouTubeにもひとつ番組がアップされてるから、興味があったら是非見てみてほしい。その番組の中で、彼はなんとスケボーに乗って、さっそうとスタジオに登場するのだ。
いやなんかね、いかにも知的でナイスガイみたいな風貌のマルクス・ガブリエルがですよ、シャーってスケボーに乗りながらスタジオ入りするわけ。んで、カメラもそれを追っかけてる。それ見て僕は思った。これはおかしいと。
なんで哲学者がスケボー乗らなきゃいかんのだ!おかしいだろスケボーは!いやもう、他のことはいい。だが、僕にはスケボーだけは納得できない!
「……それって単に、philoさんがイケイケしてる哲学者をやっかんでるだけなんじゃないんですか?」
ち、違うっての!全然そんなんじゃないっての!いやもう、スケボー見てほんと!見れば分かる!あのスケボーはおかしい。だいたい、わざわざあんな風にスケボーに乗る必然性がないもの!
確かに、マルクス・ガブリエルの英語のしゃべりとかは、まぁカッコいいわけ。ドイツ人なのにめちゃくちゃ英語がリューチョーでさ、ほんと頭いいんだろうなーみたいな感じではある。だけどさ、もうなんかめちゃくちゃ自信満々なわけ。哲学者ってのは、もっと色々苦悩してなきゃいかんのじゃないか……。
ちょっと前に、マイケル・サンデルってブームになったじゃない。その時ほどは話題になってないかもだけど、なんかちょっと、あの人の再来って感じ。くり返しになるけど、確かに英語はうまいんよ。スケボー置いてスタジオの赤い椅子に座った後も、めっちゃ自信満々に、こう語りはじめる。
いやもう、ほんと番組を見てほしいところである。なに、その「さて So」の言い方!ぶひー!ちょっとカッコいいからって、しゃべり方さえオッケーだと思っちゃってさぶひー!
いやもう、英語に弱い日本人としては、もうカリスマっぽい哲学者が英語でしゃべってるってだけでもうノックアウトですよ。僕だって英語でイケイケしゃべったりしてみたりしたいけど、まずはGaba通わなきゃだめだ。いやほんと、英語をスラスラしゃべれるってのは、この国では最強の武器ですよ……。
しかし許せんのは、マルクス・ガブリエルですよ。ヤツは全世界に興奮を巻き起こした『なぜ世界は存在しないのか』の後に、一体どんな本を書くのであるか。くそう、気になって仕方がないよ。人文知がぜんぜん注目されないこの冬の時代に突如現れたこの流星は、次にいったい何を見せてくれるっていうんだちくしょう!
「……ひょっとしてphiloさんってマルクス・ガブリエルのこと、結構好きなんじゃないですか?」
……うん。次の番組が待ちきれないから、これからYouTubeでもう一回、スケボーに乗ってるガブリエルを見ることにする……。