イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

お付き合いで必要なこと

 
 論点(再提示):愛の体験もまた、人間を「他者のために生きる」という実存可能性へと向け変えるきっかけの一つなのではあるまいか。
 
 
 恋愛というのは自分自身も楽しいものなので、恋とはいわば相互的な自己愛に他ならないのではないかという反論もありうる。しかし、その場合であっても、恋愛が他者なるものの存在を学ばせてくれるまたとない機会であることは、否定できないであろう。
 
 
 たとえば、前にも論じたことがあるとは思うのだが、告白するというのも、相手がそれを受け入れてくれなければどうにもならないわけである。告白に対する返答は、わたしを越えた存在である、あなたという超絶から到来する。ここには、筆者がここのところ論じてきた「存在の超絶」というモメントが、分かりやすい形で垣間見えていると言ってよい。
 
 
 このことはたとえば、告白が成功して「付き合い始める」ようになってからも当てはまる。筆者は信仰者であるゆえ、結婚を前提としないお付き合いは原則としては望ましくないという立場ではあるのだが、何というか、その、お付き合いというのはこの世では現実には存在してしまうわけであって、だからと言ってすべてが是認されてよいわけではないとは思うのだが、この場合にはやむをえず具体例をというわけで、以下弁明を省略させていただくことを諒とされたい。
 
 
 さて、お付き合いである。お付き合いにおいては、筆者が「存在の超絶」と呼んでいる事態が非常に分かりやすい形でクローズアップされてこざるをえないように思われる。以下、そのことの詳細を、女の子とお付き合いをする男の子の視点から論じるという形で考えてみることにしたい。
 
 
 
恋愛 存在 結婚 お付き合い SW ソフビ ルーク・スカイウォーカー ジャバ・ザ・ハット パルパティーン カイロ・レン グリーバス将軍
 
 
 
 たとえば、筆者はここ最近、SWのソフビ人形なるものに非常に心惹かれている。と言っても、まだルーク・スカイウォーカーとジャバ・ザ・ハットの人形しか持ってないんだけど、大きさわずかに数センチという愛らしさとクオリティの高さがどうしようもなく所有欲をかき立てるゆえ、もうすべてを忘れて買いまくりたいんだけど、なにぶん一個五百円近くするので、そんなにたくさんは手を出せないでいるのである……ぶつぶつ。
 
 
 それで本題なのだが、いくら自分が大のSWファンだからと言って、付き合ってる女の子にそのソフビ人形をプレゼントとして贈るというのは言うまでもなく間違っているであろう。いや、相手の子も大のSW好きというのならば話は別であろうが、ジャバ・ザ・ハット(注:知らない方のために記しておくと、これはトカゲというか宇宙ナメクジのような姿をしている極悪キャラである)の人形をいきなりもらって喜ぶ女の子というのは、おそらくは皆無に近いのではないかと思われる。
 
 
 「お付き合い」において求められるのは、自分が自分自身に対して望んでいるものを相手にも与えることではなく、相手が望んでいるまさにそのものを相手に与えることなのではないだろうか。筆者が欲しいのは、言うまでもなく上に書いたようにSWのソフビ人形に他ならない(特に、カイロ・レンと皇帝とグリーバス将軍のちび人形は喉から手が出るほどに欲しい。パルパティーン最高)のであるが、ダブりを出してしまう可能性を考えると、そう簡単には手を出せないでいる今日この頃なのである。