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イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

日本ホワイト化プロジェクト@虎の門ヒルズ

日本ホワイト化プロジェクト 思想と社会
 
 インターネット上で知り合った方と実際にはじめて会うというのは、とてもドキドキする体験です。10月のある土曜日の午後、僕は都心のまんなか、虎ノ門ヒルズの入口で、ある人と待ち合わせをしていました。
 
 
 こちらが電話をかけてからほどなく、一人の男性が向こうからやって来ました。ひょっとして、あの人だろうか……。「こんにちは!どうもよろしくお願いします。」声をかけてくれたのは、まりおさんです。今から数ヶ月前、まりおさんと僕は、このはてなブログ上で知り合いました。
 
 
 まりおさんは『バカは風邪をひく。』というタイトルのブログを書いている、サラリーマンの方です。そのブログでまりおさんは、自分の職場での出来事や、そのとき話題になっている社会問題などをとおして、さまざまな提言を行っています。
 
 
 まりおさん本人によると、「たくさん反論をもらって、自分で学ぶために書いています!」とのことですが、ユニークな視点から書かれた記事にあふれている『バカは風邪をひく。』については下のほうにリンクを張っておくので、もしよろしければ、ぜひご覧ください。ちなみに、直接お会いしてみた印象では、現実のまりおさんは、どっしりと落ちついた雰囲気をたたえつつ、確信のこもった言葉を話す、かなりのイケメンでした……!
 
 
 この日は、耐震関係の仕事をしている友人のNさんともご一緒させていただきました。待ち合わせののち、彼女と、まりおさん、それに僕の三人は、中のお店でアイスクリームを食べたのち、カフェのほうに移動して、コーヒーを飲みながら数時間ほど対話しました。まりおさんもNさんも、とても感じのよい方で、気がついてみると、初対面であるにもかかわらず、かなり話が盛りあがっていました!
 
 
 さて、この日のテーマとなるトピックは、実は僕のほうから前もって頼んでおいたものでした。それは、「今の日本人の働く環境」です。数時間の対話をとおして、まりおさんとNさんから、自分の職場の事情などをまじえつつ、率直な意見を聞かせていただくことができました。今回のシリーズでは、その時の体験を元にしつつ、このトピックについて考えてみることにしたいと思います。
 
 
 
日本ホワイト化プロジェクト 虎ノ門ヒルズ
 
 
 
 ひょっとすると、日本人が働く環境というのは、今のこの国のなかでも、最も関心を持たれているトピックの一つかもしれません。何といっても、この話題にはほとんどすべての人が何らかのかたちで関わっていますし、だからこそ、この話題については誰もが自分の意見を持っていることと思います。
 
 
 今回のシリーズには、「日本ホワイト化プロジェクト」というタイトルをつけてみました。まず始めに、このタイトルが持っている意味に少し触れておくことにします。
 
 
 ブラック企業という言葉は、特にここ数年のあいだに、ものすごい勢いで広がってゆきました。それだけではなく、最近では、「今の職場、ブラックなんだよね……」「あの業界って、かなりブラックらしいよ」といったように、「ブラック」は、私たちのあいだでひんぱんに用いられる形容詞にもなっています。どうやら、このブラックという言葉は、特定の企業だけではなく、多くの人の日常に、とても親和性が高いもののようです。
 
 
 「私たちの国は、世界的にみても、かなりブラックな労働環境に置かれている」というのは、少なからぬ人が持っている共通の認識であるように思われます。「ブラック国家、日本」と言ってしまうと、「うああ、やめてくれぇ!」と叫びたくなりますが、さすがに列島ぐるみでドス黒い(!)とまでは言わないまでも、国のレベルでみても何やらグレーな雰囲気が漂っているというのは、なかなか否定しにくいことかもしれません……。
 
 
 なんとか、この現状を変えてゆくことはできないだろうか。「日本ホワイト化プロジェクト」というタイトルのうちには、「国全体で、よりよい職場環境をめざしてゆこう!」という願いがこめられています。これから、数回をかけて考えてみることにします。
 
 
 
日本ホワイト化プロジェクト 虎ノ門ヒルズ
 
 
 
 はじめに断っておかなければならないのは、この問題にすぐ効くような特効薬は、おそらく存在しないということです。もしもこの国に、あのガンジーキング牧師のような、強烈なホワイト化のカリスマが現れてくるならば、ひょっとすると劇的なドラマが起こることもありうるかもしれませんが、そうした奇蹟でもなければ、少なくともしばらくのあいだは、現状が急速に変わることはないでしょう……。
 
 
 けれども、たとえそうだとしても、状況は長いスパンで見れば変わりうるのではないか。僕は、日本のホワイト化の可能性は十分にあるのではないかと考えています。簡潔にではありますが、これから、そう考えることのできる理由について書いてみたいと思います。
 
 
 ただ、最後にもう一つ断っておかなければならないことがあります。僕は、東京大学の博士課程の学生として、週4回のアルバイトをしてはいますが、まりおさんやNさんのように、企業などで正式に働いているわけではありません。そのため、さまざまな視点からみて不十分な点が出てくることとは避けられないと思います。そうした難点はありますが、「この問題はある意味で、日本に生きるすべての人にとっての問題なのではないか」と考えて、今回、哲学の側から、日本人の働く環境について書いてみることにしました。このシリーズが、読んでくださる方にとって、この問題について考えるためのきっかけになれば幸いです。
 
 
 長くなってしまいましたが、これで前置きは終わりです!次回から、「日本ホワイト化プロジェクト」について考えはじめてみることにします。
 
 
(つづく)
 
 
 
 
 
 
 
 
[以下の記事は、このシリーズを始めるためのきっかけの一つにもなった、まりおさんのブログの記事です。今回のシリーズでは、僕自身の考えを前面に出して主張するというよりも、今のこの国の風景を描き出しながら、これから先の未来がたどってゆく方向を見定めてみたいと考えています。]