イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ラーメン屋さんと孟子の教え

ところで、哲学のアンダーグラウンドなるものについて話をしていた時に、年上の哲学徒の友人であるジェイコブさんから、次のように言われました。 「でもね、philoさん。あなたの話を聞いていたら、昔、好きだった新宿のラーメン屋さんのことを思い出しちゃ…

ピノコくんからの、手痛い一言

今回の探求をはじめるきっかけになったのは、このブログをいつも手伝ってくれている助手のピノコくんからの、次のような一言でした。 「あなたが何を主張したとしても、哲学の世界ではまともに受けとってもらえないよ。あなたは、大学院をやめただけの単なる…

お金についての考察のおわりに

前回までで、今回の探求について書きたかったことはいちおう書き終えたので、この辺りでシリーズを終えることにします。 けっきょく、大枠としてはわりとふつうな結論に落ち着いてしまったような気もします……。けれども、哲学の闘いは、概念のかぎりを尽くし…

話しにくいけれど大事なこと

哲学をすることは、真理を探求することであると同時に、隣人愛の実践を行うことにもつながっているはずだ。しかし、そうは言っても、やはり心残りは完全には消えません。 哲学は、政治や医学と同じように人間にとって必要な営みであるはずだ、という考えにつ…

筆者自身の、とりあえずの選択

テオーリアとプラクシス。真理を知ることと、愛を実践すること。この二つのことのあいだの関係についてどう考えているのか、筆者自身の今の生き方も含めて書いておくことにします。 筆者としてはやはり、これからも真理を知ることを人生の最重要課題のひとつ…

知るだけでなく、愛することを

これから書くことはあくまでも僕が信じていることなので、他の方にはまた別の考えがあるかと思います。何かの参考になればということで書いてみますが、もしよかったら、少しだけお付き合いください。 僕は哲学者として、真理を追いもとめることのうちには、…

哲学は何のためか

このあたりで、哲学者とお金の関係というはじめの話題に立ち返ってみることにします。すると、哲学者はここで、一つのアポリアの前に立たされている自分自身を見いだすことになります。 「すべてのものを振り捨てて、ただ真理だけを追い求める。」なるほど、…

帝国と政治

ネグリとハートにならって、今日のグローバルな秩序をひとつの帝国としてみることにすると、私たちは、その帝国の中心部に住んでいるといえます。中心部ではおおむねのところ、リベラル・デモクラシーと快適な消費生活が営まれていますが、周縁部では事態は…

アダム・スミスからスラヴォイ・ジジェクへ

ところで、哲学的に考えるという範囲においてさえ、コンゴの現状のような話題に言及するということには、抵抗が伴わずにはいません。「私たちのふつうの生活は、暴力によって成り立っているのではないか」という問いを立てることは、そうせずにいられるなら…

金銭の悪しき本性

コンゴのコルタンだけでなく、ナイジェリアの石油や、ニジェールのウランなど、アフリカでは、話を資源だけに限定してみても悲惨な現状を抱えているケースが数多く存在しています。けれども、ここでは議論を一般的なレヴェルに引き戻しつつ、「金銭は暴力を…

コンゴの話

話をさらに複雑にしてしまいそうですが、もう一つの論点を付け加えておくことにします。僕は最近になってはじめて、コンゴの内乱にかんする情報を知りました。 ここでの本題は哲学者とお金の関係についてなので、最低限の言及にとどめますが、アフリカのコン…

気がついたら大学を辞めていた

バビロンとドクサをめぐる問題については、哲学者として取りうる一つの選択肢を提出してみることにしましょう。それは、すでに何回か書いてきましたが、真理を求めて、荒野に旅立ってみるというものです。 もちろん、この選択肢はあくまでも案にすぎないので…

蔓延するドクサ

バビロン性の濃度不確定性問題は私たちに重大な問いを提起していますが、程度の違いからいったん視線を移して、本性の違いに目を向けることにしましょう。当たり前のようですが、哲学者として見過ごすことができないのは「利益と真理とは、切り離して考える…

「黒い平成」

万人の万人による闘争が日夜行われている、地獄の都市バビロン。この都市について考えるにあたって、いったん冷静になって、次の一つの論点を提出しておくのが適当かと思われます。 その論点とは、「バビロン性の濃度不確定性問題」とでも呼びうる問題にほか…

その都市の名はバビロン

マス対コアという永遠の対立は、すでにプラトンが熱をこめてくり返し語りつづけたテーマでもありました。ところで、こうしたものの見方の根底には、「この世はバビロンである」という苦い認識が横たわっているように思われます。 バビロンとは、人間たちの欲…