イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

自由のスピリット

言論のユートピア   ーデモクラシーと自由についての考察のおわりに

私たちはすでに、中江兆民の代表作である『三酔人経綸問答』の展開をおわりまで追ってみました。シリーズの締めくくりとなる今回の記事では、このたびの探求の主題だったデモクラシーなるものについて、とりあえずの結論を出してみることにしましょう。 『三…

ごまかさなかった南海先生   ー『三酔人経綸問答』の結論

『三酔人経綸問答』の展開も、いよいよ終わりの部分にさしかかりました。洋学紳士君と豪傑君の演説についてはすでに見たので、今回の記事では、街なかに住む賢者である南海先生の言葉に耳を傾けてみることにしましょう。 まず、南海先生は、二人の演説の内容…

豪傑君の恐すぎる演説   ー『三酔人経綸問答』の闇

『三酔人経綸問答』において、人類の理想を語る洋学紳士君に引きつづいて演説の二番手を務めるのは、豪傑君です。彼のロジックは、洋学紳士君に勝るとも劣らない極論に到達することになります……。これから、彼の言うところに耳を傾けてみましょう。 まず、豪…

洋学紳士君、9条の思想を語る?   ー理性がめざす絶対平和

洋学紳士君にしたがって理性的に考えてみるなら、すべての人間は平等であり、生まれながらにして自由に生きる権利を与えられているといえます。彼は、人類の歴史はこの真理を社会制度のうえで実現する方向に向かってゆくはずだと主張します。ここでは詳しく…

自由のスピリット!   ー洋学紳士君、大いに語る

南海先生、洋学紳士君、豪傑君の三人によって、ざっくばらんな政治談義が交わされる『三酔人経綸問答』ですが、一番手として演説を繰りひろげるのは、理性の申し子とでもいうべき洋学紳士君です。今回の記事では、彼のいうところに耳を傾けてみることにしま…

東洋のルソーからデモクラシーを学ぶ   ー『三酔人経綸問答』の世界へ

この国におけるデモクラシーについて考えるためには、ヨーロッパの思想家たちに目を向けるだけではなく、この国の先人たちから多くを学ぶことも必要です。これから、中江兆民の代表作、『三酔人経綸問答』の世界へ入ってゆきたいと思います。この本について…

安保法案から中江兆民へ   ーデモクラシーについて、はじめから考えてみる

安保法案をめぐる国会での騒動から、一週間以上がたちました。今回の件については、すでにさまざまなことが言われていますが、このブログでも少し考えてみることにしたいと思います。 すこし残念なことに、集団的自衛権をめぐるこの問題については、この国の…