イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

自由意志と若者論

論点: 隣人に何かを贈るというのは、その人の隣人愛のあり方が試される一経験である。 隣人関係においては往々にして、「SWシリーズを好きなわけではない人にSWを贈ってしまう」といったようなことになりがちである。すなわち、相手が本当に望んでいるもの…

超絶と多様性

論点: 人間の多様性について親しく知ってゆくことは、人生の中で最も大切なことの一つである。 たとえば、なぜハリポタ好きは女性の方が多いのか。J・K・ローリングが女性だからっていうのも大きい気はするけれど、それでは、ハリポタのどこがどう、女性た…

蓼食う虫も好き好き

論点: 他者には自分が自分自身に対して望んでいるものではなく、その他者が望んでいるものをこそ与えなければならない。 この点、贈り物をするという経験は非常に教育的である。 前回にも書いたように、自分がSWのソフビ人形をいくら好きでたまらないからと…

お付き合いで必要なこと

論点(再提示):愛の体験もまた、人間を「他者のために生きる」という実存可能性へと向け変えるきっかけの一つなのではあるまいか。 恋愛というのは自分自身も楽しいものなので、恋とはいわば相互的な自己愛に他ならないのではないかという反論もありうる。…

「存在の家」の探索

前回の論点に、別の観点から補足を加えておくことにしよう。 論点:愛の体験もまた、人間を「他者のために生きる」という実存可能性へと向け変えるきっかけの一つなのではあるまいか。 赤ちゃんの話からいきなり恋愛の話に飛ぶのは、いささか唐突と思われる…

赤ちゃんの愛らしさ

さて、本題に戻るとしよう。 論点の再提示: 他者のために何かをするということは、たとえ自分が死ぬとしても意味のあることなのではないだろうか。 この点、いちばん範例的であるのはやはり子供、とりわけ赤ちゃんであろう。 赤ちゃんのかわいさについては…

人生よ、ありがとう

哲学の話になったついでに、少しだけ脱線しておくことにしたい。僕は今日(2/13)、久しぶりに哲学の研究会に参加してきたのである。 「……なるほど。」 いや、よかったよ。ソクラテスとかカントとか、レジェンダリーな先人たちについての発表を聞いていて、…

この世に何を残せるか

これまでとは話の向きが少し異なるのだが、ここから、これまでとは違う観点から死の問題にアプローチしてみることにしたい。 論点: 他者のために何かをするということは、たとえ自分が死ぬとしても意味のあることなのではないだろうか。 そうなのである。わ…

無知を確保しつつ、無の可能性を思考する

論点: 死から無に期するという可能性を取り去ることは、少なくとも理論的な見地からは不可能である。 もう一度整理しておくことにしよう。死んだ後にはどうなるのかという問いに対しては、大きく言って次の二つの答えの可能性があると考えられる。 死後の可…

存在か無か

論点: われわれ人間は、無ではなく存在の側に賭けることしかできないのではあるまいか。 たとえ今日死ぬとしても、そして、たとえ仮に人間は死んだら無に帰する(注:繰り返しにはなるが、この想定は、筆者自身の信ずるところではないけれども)のであると…

人生最後の一日

論点の再提出: もしも、死んだら無になるのであるとすれば、われわれが存在していることにも意味がなくなってしまうのではないだろうか。 もしも今日が最後の一日だとしたらというのは、映画やドラマでもよくあるシチュエーションである。この想定を手がか…

もしも全てのことが、無に帰するとすれば……。

論点の再提出: 「死んだら一体どうなるのか」という問いは、この世ではほとんど発されることがない。 「死ぬ時には苦しみたくないよね」みたいな話なら、たまに話題に上ることもなくはないだろう。しかし、これはすでに論じたように、あくまでも「死」へと…

沈黙は語る

問い: 人間は、死んだら一体どうなるのか? 哲学には、答えを出せるかどうかには関わりなく、問いを発するだけですでに意味があるというケースが往々にしてあるように思われるが、この問いはまさしく、そうしたものの一つなのではなかろうか。 この問いは、…

「まあ、なんと言うか……。」

前回の論点とも関連するが、われわれは、次の二つのモメントを区別せばならぬように思われる。 ①死に至るまでの、種々の精神的・肉体的苦しみ。 ②死そのもの。 ①はつまるところ死そのものではなく、いまだ生に属している。怖いとか辛いとかいったことは、と…

「わたし自身ではありえない」

論点: もしも、死が無に帰することを意味するとすれば……。 仮に、人間が死んだら無になるとしてみよう(繰り返しにはなるが、筆者自身はそう信じているわけではないけど。しつこくてごめん)。 その場合、何をどうやったとしても、われわれにはいずれ無に帰…