イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ニーチェに問いかける

今回の機会を利用して、最近の自分の状況を踏まえつつ、デカルトだけではなく、ニーチェにも哲学上の疑問を投げかけておくことにします。紙面の都合上、大まかな構図を描くだけになってしまいますが、ご了承ください。 19世紀ドイツの哲学者であるフリードリ…

デカルトへの疑問

すでに、精神的にも肉体的にも、だいぶ回復しつつあります!今回は、以前の記事で考えたデカルトの「高邁の心」について、今の地点から考えなおしてみることにします。 すでに一度論じましたが、デカルトは『情念論』のなかで、高邁の心のことを道徳の鍵であ…

ただ生きている

太宰治『人間失格』の終わりには、次のような文章があります。 「いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。」 僕にはこれまで、太宰治の作品が深く心に染みたことはあまりありませんでしたが、さきの一週間を通して、太宰が…

やめたいけれどやめられない

食べること、音楽、眠ること。このブログではここのところ、リフレッシュの手段を追いもとめてきました。まだまだリストを続けることもできそうですが、そろそろ、僕自身にとっての本題に入らなければならないようです。 やはり、自分をごまかそうとしても、…

存在しないことの幸福

おいしいものを食べることと、さりげない音楽を聴くこと。どちらも、リフレッシュの手段としては理想的なものです。けれども、私たちを生みだした母なる自然は、こうしたやり方をはるかに超える、究極のリフレッシュ・メソッドをすべての人に与えてくれてい…

さりげない音楽

確かに、食べることは気分転換にはもってこいであるといえますが、有限な肉体をもっている私たち人間は、四六時中食べているわけにもゆきません……。そんなことをしていれば、またたくまにスーパーメタボリックボディーになってしまいます!もう少し、生活の…

おお、マスカルポーネはちみつパン

僕が、自分でも困ったものだと思っている性格の一つとして、「一つのことに夢中になりすぎると、歯止めがきかない」というものがあります。フランスの哲学者であるベルグソンは、考えすぎるあまりに、勉強のしすぎで過労で倒れたことがあるそうですが、こう…

働くことはすばらしい   ー「日本ホワイト化プロジェクト」立ち上げのおわりに

カフェでの会話のなかでいちばん印象に残ったのは、Nさんの次のような言葉でした。 「とてもきついけれども、今の仕事にはとても大きいやりがいを感じています。耐震関係の仕事は、ずっと自分でやってみたいと思っていたものだったから。これから資格も取っ…

2015年の私たちが立っている地点   ー対話のエートスと、この国の新たなモデル

私たちは前回、日本のホワイト化を進めてゆくために、言論が進んでゆきうる二つの方向性を検討してみました。グローバリゼーション、正規雇用と非正規雇用、働くことについての世代間の認識の違いなど、日本人が働く環境については、考えなければならないフ…

「日本ホワイト化」の二本の柱   ー働くことの未来形にむけて

「もっとゆったりと仕事をしたい!」自由な言論の活動によって、日本のホワイト化は進んでゆくはずです。それでは、具体的に言って、このプロセスをどのように進めてゆけるのでしょうか?今回の記事では、二つの方向性を考えてみることにします。 ① 「私たち…

自由な言論が、日本のホワイト化を進める!   ーゆったりと働ける国をめざして

前回の記事で見たように、私たち日本人が働きすぎてしまう最も大きな理由の一つは、「とにかく、死にものぐるいで働かなければならない!」という空気がこの国のいたるところに存在しているからであるように思います。空気というものはなかなか数量的なデー…

「私たちは、働きすぎている」   ーこの国の「空気」について考える

虎の門ヒルズの中にあるカフェで、まりおさんとNさんと僕の三人は、数時間をかけて日本人の働く環境について話し合いました。議論の取っかかりとなる出発点については、三人とも、ほとんど異論なしに合意しました。それは、「私たち日本人は、働きすぎている…

日本ホワイト化プロジェクト@虎の門ヒルズ

インターネット上で知り合った方と実際にはじめて会うというのは、とてもドキドキする体験です。10月のある土曜日の午後、僕は都心のまんなか、虎ノ門ヒルズの入口で、ある人と待ち合わせをしていました。 こちらが電話をかけてからほどなく、一人の男性が…

魂のはてしない鍛錬   ー眼医者さんについてのエピソードのおわりに

今回のことを通してあらためて思い知らされたのは、僕はこれから、精神的にもっと強くならなければならないということでした。シリーズの終わりに、反省の念をこめつつ、この点について考えなおしてみることにします。 眼の健康のことは自分の自由にはなりま…

Dr.Yと三種の薬   ー近代医学のメッセージ

Dr.Yの診察は、意外なほど早く終わりました。精悍でダンディな風貌のDr.Yは、ひととおり僕の眼球をライトで調べたあと、僕に尋ねました。 「で、あなたは眼精疲労なの?」 「はい、ドクター。ここのところ特にひどくて、サンコバという薬を使っているんです…