イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

「ご連絡をお待ちしています」 哲学者は語る

 
 質問者: 質問を続けます。あなたのブログを読んでいると、この人の書くものには一貫性があるのかという疑問に捉われざるをえません。泌尿器科での検診、マテ茶への不安、そして、最近ではあなたは源頼朝について書いていらっしゃいます。その場の勢いで書きなぐった雑な日記帳でないとすれば、あなたのエクリチュールとは一体何なのでしょう?
 

 philo1985: 注意深い読者の目には、本質的な作家の書くものは、常にある不動の焦点から発しているということが明らかなのではないかと思いますね。遠近法の絵画は、消失点と呼ばれる不可視の一点のもとに整然と収束します。僕のエクリチュールは一見すると乱雑なように見えて、その製作法はクワトロチェントの画家たちと共通しています。失礼ながら、僕のことを単なる感じのよいイケメンと思い違いなさるのはどうかやめていただきたい。
 

 質問者: 心配なさらずとも、そんなことは誰一人思っていないので安心してください。ブログを書く上で、プレッシャーなどをお感じになることはありますか?
 

 philo1985:いい意味でも悪い意味でも、プレッシャーは常に感じています。『イデアの昼と夜』は筆者自身の当初の意図を超えて、ある種の社会現象になってしまいました。人気稼業というのはまことに辛いもので、作家が自由にものを書きたいと思っても、人々の持っている固定概念なるものがそれを邪魔します。かくして、コナン・ドイルは書きたくもないシャーロック・ホームズの冒険を延々と書き続けるよう強いられる、というわけです。重圧に押しつぶされそうになることもなくはないですが、これはもう、ここまで来てしまったら受け入れるしかないのでしょうね。
 
 
 
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 質問者: 小学生のユーチューバー並みに低いアクセス数でそのように感じていらっしゃるとは、ある意味で感服します。質問の矛先を変えますが、あなたはこのブログを、どのような読者に向けて書いているおつもりですか?
 

 philo1985: 僕が想定する理想的読者とは、ジェームズ・ジョイスのような「理想的不眠ニ悩ム理想的読者」ではなく(当節では不幸なことに、芸術のための不眠などというものにお目にかかることはまずありませんからね)、とにかく僕の書いたことをすべて丸ごと受け入れてくれる人のことです。僕の精神は極度に繊細です。面白かろうと面白くなかろうと、興味深かろうと興味深くなかろうと、とにかくすべてを一つ残らず完全に肯定していただきたい。
 

 質問者: 建設的な批判も必要ないと?
 

 philo1985: 全く必要ありません。対人恐怖症のせいで、僕には他者からの批判を受け入れることができそうにないのです。しかし僕はウサギなので、寂しいと死にます。どうか読んでください。そして、すべてを肯定してください。
 

 質問者: 批判者は、あなたのためを思って批判してくれるのかもしれませんよ?
 

 philo1985: 僕としてもそう思いたい気持ちは山々なのですが、とにかく僕の精神はあまりにも脆すぎて、完全なベタ褒め以外の反応は受け入れることが難しいのです。しかし、「もう、philoくんたら♡」と言いながら僕のことを優しく叱ってくれる篠原涼子さん似の女性の場合には、話は別です。その場合には、DMでもgmailでも構いませんので、ただちにご連絡をいただければ幸いです。
 
 
 
(インタビュアー: philo1985)