イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

現代のブッディスト、ジル・ドゥルーズ

『ジョジョの奇妙な冒険』の形而上学(3)

スゴクいい!いいビンタだ!手首のスナップといい腰の入れ具合といい、こういうビンタを繰り出せるんなら、君の健康状態はまちがいなく「良好」だ! メローネ 「いい」というこのシンプルな叫び声は、『ジョジョ』シリーズの全編をとおして鳴り響いています…

『ジョジョの奇妙な冒険』の形而上学(2)

産まれろ……生命よ……産まれろ、新しい命よ…… ジョルノ・ジョバァーナ 『ジョジョ』のうちに見られるプロセスの感覚には、生命的なものの質感がともなっています。SF的な設定を自由自在に操りながらも、マンガの展開がけっして頭のなかだけのものに終始する…

『ジョジョの奇妙な冒険』の形而上学(1)

なにかわからないが、この感覚……ぼくのこの『ゴールド・エクスペリエンス!』もっと生まれるような気がするッ!もっと何かが生まれそうだッ! ジョルノ・ジョバァーナ 私たちは、『ジョジョ』の全編をとおして、プロセスの感覚とでも呼ぶべきものが常にみな…

荒木飛呂彦さんをたたえて

ひとたびジル・ドゥルーズについて論じてしまったあとでは、この国最大のドゥルージアンの存在にも、この際ぜひとも触れておきたいという思いを止めることができそうにありません。『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズを描いていらっしゃる荒木飛呂彦さんこそ…

現代のブッディスト、ジル・ドゥルーズ(4)

出来事が、現勢化されないものと捉えられていても、そこに欠けるものはなにもない。 ジル・ドゥルーズ『内在 ーひとつの生……』 内在平面は、根拠も理由も持たないまま、ただそこにある。主体も対象もないところで、出来事のネットワークだけが存在していると…

現代のブッディスト、ジル・ドゥルーズ(3)

ひとつの内在平面について語りうるのは、内在がもはや自分以外のなにかの内在ではなくなったときだけである。超越論的場が意識によって定義されないのとまったく同様に、内在平面はそれを収容しうるひとつの《主体》やひとつの《客体》によっては定義されな…

現代のブッディスト、ジル・ドゥルーズ(2)

ひとつの生は、内在の内在、絶対的な内在。それは力、まったき至福。 ジル・ドゥルーズ「内在 ーひとつの生……」 主体や対象といったアクチュアルなもののを超えでて、経験が生まれでてくるところへさかのぼってゆくと、そこには、ヴァーチャルなものの圏域が…

現代のブッディスト、ジル・ドゥルーズ(1)

ひとつの生は、潜勢力、特異性、出来事からなる。潜勢的と呼ばれるものは、現実性を欠いたなにかではない。そうではなく、それに固有の現実性を与える平面にそって、現勢化のプロセスにはいってゆくものだ。 ジル・ドゥルーズ「内在 ーひとつの生……」 20世紀…