僕は週4回、個別指導のアルバイトをしています。個人経営の小さな塾なので、小学生から高校生までの子どもたちの勉強を見ながら、彼らと気兼ねなく話せるのがいいところです。けれども、今回の記事の本題はそこではありません!この塾についてはまたいずれ書くことにして、今回は、塾の近くにあるカレー屋さんについて書きたいと思います。
ところで、この塾のリーダーである塾長には、僕よりも3歳年上の息子さんであるTさんがいます。Tさんは、高校を卒業したあとにさまざまな紆余曲折を経たのち、今では、塾の事務作業を手伝って暮らしています。彼とは、去年まではあまりつながりがなかったのですが、今年はずいぶん交流を深めました。そして、その交流の場こそが、くだんのカレー屋さんというわけです。
仕事が終わったあとには、Tさんや同僚たちと一緒に、週に一度か二度は必ずカレー屋さんにゆきます。最近では、魂がすさまじいカオス状態にあったせいで少しだけ足が遠のいていましたが、先週あたりから、この習慣がめでたく復活しました!商店街の通りの真ん中にある、ネパールの方が経営しているカレー屋さんが、僕たちのたまり場です。
いちばん多いのは、僕とTさんの二人で行くというパターンです。ネパール人の店長さんとはすっかり顔なじみですが、僕と同僚たちはこのお店にゆくと、いつも裏メニューの学生セットを頼みます。これだと、ディナータイムでもカレーとナンとサラダにドリンクまで付いて、なんと800円というお値段なので、かぎりなくお得です!このままの日々がずっとつづくなら、僕たちは、それこそ時の終わりまでこの店に足を運びつづけることでしょう。
近年すっかり数の増えたインド料理屋さんやネパール料理屋さんの店内には、独特の雰囲気が流れています。この空間のうちには、なんというか、スケールのきわめて大きなおおらかさのムードが漂っているようなのです。
まるで、回転数や利益率といった呪いの言葉は、ネパール料理店のうちには全く存在していないかのようにみえます。僕たちのゆくカレー屋さんには、いつも、自分たちのほかにはお客さんがほとんどいません。夜の10時過ぎに店を訪れるからというのもありますが、こんなことで経営は大丈夫なのだろうかというくらいの無人状態です。
けれども、そのおかげで、お店はほとんどいつも、僕とTさんの二人で貸し切ったかのようです!ゆったりとした席につき、高山のなかにそびえる仏教寺院を描いた大きな絵に囲まれていると、なんだか、この世の果てで瞑想にふけっているような気分になってきます。
「永遠は、ネパール料理屋のなかに……。」この商店街の片隅には、まさに悠久の時が流れているといえるかもしれません。そのおごそかな流れは、たとえガンジス川の砂を数えつくしたとしても、けっして途絶えることはないでしょう。
なにしろ、お店の人以外にはほとんど誰もいないので、塾での仕事のことから、国際ニュースや、芸能界の裏事情、愛と真理といったさまざまなトピックについて、ほかの何も気にすることなく語ることができます。一年間をへて、Tさんとはリズムがすっかり合うようになってきたので、まるでイージー・リスニングの音楽のように会話が進んでゆきます。
人生には悩みが尽きないとしても、ネパール屋さんのような空間にいると、すべてのことを忘れてしまいます。楽園とは、まさしくこのような場所のことをいうのでしょうか……。実は、この記事をアップする前の夜にも、このカレー屋さんで夕食を食べてきました。できるなら、あの場所でナンをカレーにひたして食べながら、そのまま永久にしゃべりつづけていたいものです!