イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

「それで、結局?」

 
   「それで結局、philoは世に知られたいの、知られたくないの?」


 そりゃTさん、本音を言えば、いつかは知られたいですよ!でも、だんだんわかってきましたが、これは本当に雲をつかむような話です。遠くに見えてる蜃気楼を、砂漠で一生追いかけて終わるようなことになる可能性は非常に高い……。
 
 
 「そうねえ。とりあえずは、地道にがんばりつづけるしかないかもね。」


 本当にその通りです。ここで夜、ガパオを週に一回食べられることを慰めにしながら、地上でうめきつづけるしかないですね。逆流性食道炎だけは、もう少しなんとかならないものかとは思いますが……。


 「調子よくないの?」


 いやぁ、よくはないですね。でも、体調はTさんもよくないわけですし、ピノコくんも逆流性食道炎仲間なわけですし、これはもう、そういうものだと割り切るしかないですよ!とにかく、まだこうして生きてることには、ひたすらに感謝です……。



ガパオ 逆流性食道炎 Tさん ネパール料理 アンダーグラウンド
 
 

 ところでね、Tさん。僕は時々、思うんです。僕は、たとえばこうやってガパオを食べながらしゃべってたりすると、もう本当にそれでいいみたいな気分になっちゃうんです。


 売れなくてもいい、この人生で何にもなれなくて終わってもいいや、アンダーグラウンドで勝負してやるって話をこうして聞いてもらいながらしゃべっていられればそれでいいや、みたいなね。そんな半端なことじゃダメだ、もっと歯を食いしばらなきゃってことは、わかってるつもりなんですが……。


 でもなんて言うかな、僕は本当に幸せなんですね。人生もガパオも、すばらしいですね。食べ物にはうるさいジェイコブさんも、ここのガパオの味は認めてましたよ。


 でもねTさん、今はたまたまそういう気分だとしても、僕は本気ですよ。何年、何十年かかるかはわからないけれど、今に見ててください、思想書の棚も新刊書のコーナーも、いつか超ド級の愛のメッセージで埋めつくしてみせます。でかい夢を見る習慣がいったんついてしまったとなると、どれだけ失敗を重ねたとしても、なかなかやめられるもんじゃありません……。








[Tさんはすでに何度か登場してもらった、アルバイト先の友人です。Tさん、来週もまたネパール料理屋で、夜の作戦会議をお願いします……!]