イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

真理問題をめぐる探求にひと区切りをつけるにあたって

 
 「真理とは何か」という問いに対する目下の結論:
真理とは、認識の主体であるわたしを超えて、あるものが、それがある通りにあるという、そのことである。
 
 
 この結論のうちには、これまで論じてきた存在の真理の次元と本質の真理の次元とがともどもに凝縮されており、また、この「真理そのもの」の次元から、それを言い表すものとして、命題の真理の次元にも場所が与えられることになる。以上をもって、六月から五ヶ月近くにわたって続けてきた「真理とは何か」という問いに対する探求はここで一区切りとすることとしたい。次回に引き継がれる課題も残ってはいるけれども、この問いに際して論じなければならない主題はとりあえず一通り論じることができたのではないかと感じてはいる。
 
 
 この『イデアの昼と夜』においては昨年の十二月に初めて提出された「存在の超絶」というイデーが、今回の探求においても主導的な役割を果たすことになった。これは現在の筆者の根本思想とも言うべきものであって、筆者の哲学者としての務めは、おそらくはこのイデーを掘り下げうるところまで掘り下げてゆくところにあるのではないかと思う。
 
 
 このブログも、哲学に関心のある方以外にはもはや何の関心も湧かないものとなっていることは否定すべくもないけれども、今回の探求の結論部分は、個人的にはハイデッガーレヴィナス以降の、歴史の今のこの時点でなければ出てこなかった問題圏に踏み込んでみたつもりである。こういう場所でひたすら哲学探求を続けている自分の不器用さには我ながら呆れざるをえないとはいえ、いつものことながら、読んでくださっている方には感謝というほかないのである。今回の記事はここまでということにしたいが、次回からは、また次の探求に移行する予定である。互いの日々が、実り豊かなものであらんことを!
 
 
 
 真理とは何か イデアの昼と夜 存在の超絶 ハイデッガー レヴィナス 哲学