イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、ブログを書いています。

日常

存在論的なへり下りについて

わたしが、無意識のうちに自分のことを人間以上のものとみなしてしまう危険をつねに抱えていること。また、わたしが、自分でも気づかないところで、わたし以外の人のことを傷つけている可能性がつねに存在しているということ。 わたしというものの存在論的な…

死についての考察のおわりに

これで、死についての今回の探求は終わりになります。二ヶ月という長い期間がかかってしまいましたが、読んでくださった方は本当にありがとうございました。 心残りなのは、「死ぬことは自分にとっては恐ろしいことではない」というコメントをくださった方が…

この世にいつも欠けているもの

心の原初にまでたどりついた哲学者は、ついに、みずからの欲望がいまや完全な無になったことに気づきます。それと同時に、神という他者のなかの他者が、かれの前に現れることになる。 かれは神のことを、いずれ顔と顔を合わせて目にすることになるでしょうが…

死にいたる思想

前回の記事のつづきを書こうと思っていたのですが、ちょっとダウンしてしまったので、今回はそのことを書くことにします。 前回の記事を書いたあと、僕はピノコくんと電話をしました。話題は、神の愛のことに及びました。会話はどんどんディープな方向に進ん…

思想のアンダーグラウンド

以前にツイッターで少しだけ書きましたが、今日の記事では、一つの言葉を提起してみたいと思います。それは、「思想のアンダーグラウンド」というものです。 おそらく、僕は当分のあいだ、ブログとツイッターを中心にして活動することになると思われます。「…

きーささんの疑問

前回の話のつづきです。新宿のケバブ・スタンドできーささんとお話したとき、とくに印象に残ったのは、きーささんが投げかけた、次のような疑問でした。 「philo1985さん。イエス・キリストの福音についてお尋ねしたいんですが。ちょっと前から気になってて…

新宿都心でグッドニュースを語る

脱線ついでに、このあいだの木曜日にあったエピソードについても書いておくことにします。 先週の木曜日、僕とピノコくんは、新宿にあるコクーンタワーの前で、座っていました。というよりも、倒れこむようにしてうずくまっている僕の隣で、ピノコくんが座り…

とてつもないグッドニュース

ここのところ、死についてひたすら書いてきたせいで、少し暗くなりすぎた気もします。今日は「弱いものたちの思想」は少しだけお休みすることにして、先々週の土曜日の夕ごはんについて書いておくことにします! 土曜日の夜、僕は助手のピノコくんと、東京駅…

「もう死んでいるはずなのに、なぜ」

絶望についてもう一点、分析を加えておくことにします。 去年の11月、いちばん辛かった時期のある日の午後、僕はピノコくんに会いにゆくために、渋谷から駒場にある大学まで、歩いていました。その時、次のような思考が、ふと頭に浮かんできました。 「自分…

絶望の体験について

「弱いものたちの思想」。この思想はまずもって、絶望にたいする答えを用意しなければならないと思います。弱い人たちはみな、多かれ少なかれ、絶望によって打ちひしがれることになるからです。 絶望の体験については、すでに以前の記事で書きました。状況は…

弱いものたちの思想

Tさんやゆたさんをはじめとする、同世代の人たちとの会話を通して最近つよく感じているのは、「僕たち若い世代のうちの少なくない人が、どうしようもなく弱りきっているのではないか」ということです。 「生きること自体がつらい。」「すべてのことに、意味…

『現代思想』に翻訳がのります

今日は、お知らせだけにとどめさせていただきます。本日、2月1日に発売される『現代思想』3月増刊号に、僕と助手のピノコくんが翻訳した論文が掲載されています! これは、「ガタリと人類学:アボリジニと実存的領土」というタイトルの、バーバラ・グロチ…

この世が遠ざかる

魂の健康をいったん取りもどした(?)ところで、これからの生き方について考えなおしてみることにします。まずは、現状をかんたんに確認しておくことにします。 正直にいって、5月から10月の終わりまでは、ブログの未来を考えるのが楽しくて仕方ありません…

試練はとりあえず乗りこえた

「悔い改めが必要だ。」けれども、気がついてみると、どうやら自分が新しい段階に入ったことも確かなようです。 12月の上旬に洗礼を受けてから今までは、正直に言って、めちゃくちゃに苦しい時期がつづきました。毎日のように絶望が襲ってきて、精神的には死…

死んだのちによみがえった人

「人生は、ゆっくりとしか進まない。」なるほど、受け入れましょう。僕も今回は、人生の流れに完全に身を屈しました。けれども、夢がなくては人生も煮詰まります!今日は短いですが、とてつもなくロマンティック(?)な出来事について書きたいと思います。 …

おお、崩れ落ちてゆく、わがプライドよ

「さらば、世界史。これからはクリスチャンらしく、神さまの望みにしたがって生きよう……!」しかし、どうやら、心の洗濯はまだ完全には終わっていないようです。これまで以上に見苦しくなるかとは思いますが、どうかご容赦ください! 僕は青年時代、麻布学園…

新しい年の始めから、もうどうしようもない

2016年になりましたが、年のはじまりからすでに、外面上の希望は尽きています。まずは、大学の休学期間が、いよいよ尽きます。将来、研究者になることはないので、おそらくは、東京大学の博士課程を中退することになるでしょう。 それにも関わらず、今の僕に…

死を超えて残るもの

気がつけば、今年もそろそろ終わりです。せっかくの機会なので、年が終わらないうちに、自分にとって大切なことをいったん書けるだけ書いてしまうことにします。 僕は3年前から、自分がいつか死ぬということが、恐くて恐くてたまらなくなりました。もともと…

ただ一つの望み

またしても、当初の予定から外れてしまいそうです。本当は、今回は自分のためにも底抜けに明るい記事にしようと思い、ピノコくんともその方向で話していたのですが、眼の調子があまりよくないので、なかなかそういう気分になれませんでした。というよりも、…

カレーの天国をめざして

Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes /Sunset 最初に、前回の記事で書いた、行きつけのネパール料理店の雰囲気を体現しているように思われる音楽を貼っておくことにします。リラックスしたい時にはおすすめの曲なのですが、明らかに僕が書いている文章…

すべてのことが新しく

今回の件については、書きたいことはすでに、ほぼすべて書き終えました。このシリーズの締めくくりとして、あと一つだけエピソードを書いておくことにしたいと思います。 「安心したまえ。君の眼には、とくに問題はない!」二週間ほどまえ、Dr.Yのところに、…

生きたい、どうしても

書くことに、だいぶブレが生まれてきています……。一度はすべてのことが落ちついたように思えたので、今回はゆったりとした気持ちで静かに書こうと思っていたのですが、ここ数日のところ、身体上・精神上・社会上の悩みがふたたびマックスに高まっているので…

働くことはすばらしい   ー「日本ホワイト化プロジェクト」立ち上げのおわりに

カフェでの会話のなかでいちばん印象に残ったのは、Nさんの次のような言葉でした。 「とてもきついけれども、今の仕事にはとても大きいやりがいを感じています。耐震関係の仕事は、ずっと自分でやってみたいと思っていたものだったから。これから資格も取っ…

魂のはてしない鍛錬   ー眼医者さんについてのエピソードのおわりに

今回のことを通してあらためて思い知らされたのは、僕はこれから、精神的にもっと強くならなければならないということでした。シリーズの終わりに、反省の念をこめつつ、この点について考えなおしてみることにします。 眼の健康のことは自分の自由にはなりま…

光と闇をめぐる闘い   ー待合室で考える

ピノコくんが探してきてくれた眼科クリニックは、アメリカ帰りの凄腕ドクターが開設したものだそうです。なんでも、院長のDr.Yは、ドライアイの概念を日本に持ちこんだ研究グループにに属していらっしゃったそうです。僕自身はドライアイではありませんが、…

お医者さんに行きたくない気持ち   ーソフォクレス『オイディプス王』と真理への意志

前の記事で書いたとおり、今週の月曜日に、眼医者さんのところに行ってきました。結論からいうと、今はしばらく様子を見ている状態ですが、とりあえずはひと段落といったところです。ご心配をおかけしてしてしまったとしたら、申し訳ありませんでした!今回…

たまには自分のことを振りかえる   ーブログの再出発

目の疲労が、相変わらずつづいています……。そして、これが目の問題だけならよかったのですが、それに覆いかぶさるようなかたちで、ほかのさまざまな悩みまで同時に襲いかかってきてしまいました。この記事じたいは日曜日の昼間に書いているのですが、正直に…

Sさんからの手紙   ー哲学のスピリット

赦しについてのシリーズを終えた日に、Sさんからメールをいただきました。とても丁寧なお礼のメッセージで、助手のピノコくんとともに、「よかったね!」と喜びあっていました。 その中でも特に心に残ったのは、次のような箇所でした。Sさんからの許可がおり…

旧約聖書と原初の殺人   ーあるいは、対話による赦しあいをもとめて

「なぜなら、互いに愛し合うこと、これがあなたがたの初めから聞いている教えだからです。カインのようになってはなりません。」 ヨハネ第一の手紙第3章11節において、手紙の作者は、読者たちに互いに愛しあうように説き勧めています。このような生き方はも…

わたしがあなたを赦すということ   ーヨハネによる福音書を手がかりに

赦しについて考えはじめるにあたって、もう一度、Sさんの問いを掲げておきます。 「他の人にたいして赦されえないほどに重い罪を犯したとして、その罪が赦されるとはどのようなことだろうか?罪が赦されるということは、そもそもありうるのか?」 Sさんの場…