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イデアの昼と夜

東京大学で哲学を学んだのち、キリスト者としてブログを書いています。

クリスマスと心身崩壊

そろそろクリスマスと年末が近づいていますが、じつは、筆者はこの師走の前半に、心身崩壊の危機に襲われていました。 きっかけは、前回までのアンダーグラウンドについての探求です。「一点突破してみせる!」と興奮しまくったあげく食道炎を悪化させ、最後…

アンダーグラウンドについての探求のおわりに

前回までで書きたかったことはすでに書き終えたので、今日はお休みの意味もかねて、短く記事を閉じることにします。出演してくれたジェイコブさん、ゆたさん、Tさん、そしてピノコくん、今回はありがとうございました! LES DEMERLE / UNDERGROUND シリーズ…

「それで、結局?」

「それで結局、philoは世に知られたいの、知られたくないの?」 そりゃTさん、本音を言えば、いつかは知られたいですよ!でも、だんだんわかってきましたが、これは本当に雲をつかむような話です。遠くに見えてる蜃気楼を、砂漠で一生追いかけて終わるよう…

どうしても伝えたいこと

三浦綾子さんのエピソードを聞いたことが一つのきっかけとなって、数日のあいだ考えつづけてみましたが、やはり、このあたりでもう一度決意を固めておく必要がありそうです。 書いたものを他の人に読んでもらいたいと思うからには、どうしても伝えたいことが…

最後の三浦綾子さん

日々は流れてゆきますが、時おり、自分の人生の道について考えこませるような出来事も起こります。先月末には、作家の三浦綾子さんと生前に親交のあったS先生と、たまたま少しお話させていただく機会がありました。 S先生は、三浦綾子さんの後半生には、彼女…

サブウェイでいつまでも

もともとは、アンダーグラウンドで活動しながらどうやって世の中に哲学のメッセージを発信してゆくかという問いのもとにはじめたのですが、前回の記事を書いたあと、どうもよくわからなくなってしまったような気もします。 いちばん大切なのは、まぎれもなく…

命を求めつづけていたら

さて、哲学者がもしも名誉と金銭から身を引き離すことができたとした場合、その後にかれが目を真っ赤にして追い求めるものは何かといえば、それはリアルそのものとでも呼びうるものに他なりません。 リアルというこの語のうちには、実はとてつもなく深いもの…

名誉と金銭、サタンとの対決

ところで、哲学者ならば、アンダーグラウンドからの一点突破をめざすといっても、この世に認められること、売れることを第一目標に据えるわけにはゆきません。 バビロンの誘惑については、すでに前回のシリーズにおいても取り扱いましたが、アンダーグラウン…

「究極の一発逆転」

ところで、先日、このブログを通して知り合ったゆたさん(id:SHADE)とカフェで話していた時に、次のように言われました。 「philoさん。哲学者なら、生きている時はダメでも、死んでから評価されるという道もあるんじゃないですか……?」 確かに、これは哲学…

哲学業界は意外に狭い?

困難ばかり挙げていてもへこむだけなので、ここで、アンダーグラウンドで踏んばりつづける上で見過ごすことのできないポイントに注目しておくことにしましょう。それは、「哲学業界は意外に狭い」という事情にほかなりません。 10年間以上にわたって大学や出…

ラーメン屋さんと孟子の教え

ところで、哲学のアンダーグラウンドなるものについて話をしていた時に、年上の哲学徒の友人であるジェイコブさんから、次のように言われました。 「でもね、philoさん。あなたの話を聞いていたら、昔、好きだった新宿のラーメン屋さんのことを思い出しちゃ…

ピノコくんからの、手痛い一言

今回の探求をはじめるきっかけになったのは、このブログをいつも手伝ってくれている助手のピノコくんからの、次のような一言でした。 「あなたが何を主張したとしても、哲学の世界ではまともに受けとってもらえないよ。あなたは、大学院をやめただけの単なる…

お金についての考察のおわりに

前回までで、今回の探求について書きたかったことはいちおう書き終えたので、この辺りでシリーズを終えることにします。 けっきょく、大枠としてはわりとふつうな結論に落ち着いてしまったような気もします……。けれども、哲学の闘いは、概念のかぎりを尽くし…

話しにくいけれど大事なこと

哲学をすることは、真理を探求することであると同時に、隣人愛の実践を行うことにもつながっているはずだ。しかし、そうは言っても、やはり心残りは完全には消えません。 哲学は、政治や医学と同じように人間にとって必要な営みであるはずだ、という考えにつ…

筆者自身の、とりあえずの選択

テオーリアとプラクシス。真理を知ることと、愛を実践すること。この二つのことのあいだの関係についてどう考えているのか、筆者自身の今の生き方も含めて書いておくことにします。 筆者としてはやはり、これからも真理を知ることを人生の最重要課題のひとつ…

知るだけでなく、愛することを

これから書くことはあくまでも僕が信じていることなので、他の方にはまた別の考えがあるかと思います。何かの参考になればということで書いてみますが、もしよかったら、少しだけお付き合いください。 僕は哲学者として、真理を追いもとめることのうちには、…

哲学は何のためか

このあたりで、哲学者とお金の関係というはじめの話題に立ち返ってみることにします。すると、哲学者はここで、一つのアポリアの前に立たされている自分自身を見いだすことになります。 「すべてのものを振り捨てて、ただ真理だけを追い求める。」なるほど、…

帝国と政治

ネグリとハートにならって、今日のグローバルな秩序をひとつの帝国としてみることにすると、私たちは、その帝国の中心部に住んでいるといえます。中心部ではおおむねのところ、リベラル・デモクラシーと快適な消費生活が営まれていますが、周縁部では事態は…

アダム・スミスからスラヴォイ・ジジェクへ

ところで、哲学的に考えるという範囲においてさえ、コンゴの現状のような話題に言及するということには、抵抗が伴わずにはいません。「私たちのふつうの生活は、暴力によって成り立っているのではないか」という問いを立てることは、そうせずにいられるなら…

金銭の悪しき本性

コンゴのコルタンだけでなく、ナイジェリアの石油や、ニジェールのウランなど、アフリカでは、話を資源だけに限定してみても悲惨な現状を抱えているケースが数多く存在しています。けれども、ここでは議論を一般的なレヴェルに引き戻しつつ、「金銭は暴力を…

コンゴの話

話をさらに複雑にしてしまいそうですが、もう一つの論点を付け加えておくことにします。僕は最近になってはじめて、コンゴの内乱にかんする情報を知りました。 ここでの本題は哲学者とお金の関係についてなので、最低限の言及にとどめますが、アフリカのコン…

気がついたら大学を辞めていた

バビロンとドクサをめぐる問題については、哲学者として取りうる一つの選択肢を提出してみることにしましょう。それは、すでに何回か書いてきましたが、真理を求めて、荒野に旅立ってみるというものです。 もちろん、この選択肢はあくまでも案にすぎないので…

蔓延するドクサ

バビロン性の濃度不確定性問題は私たちに重大な問いを提起していますが、程度の違いからいったん視線を移して、本性の違いに目を向けることにしましょう。当たり前のようですが、哲学者として見過ごすことができないのは「利益と真理とは、切り離して考える…

「黒い平成」

万人の万人による闘争が日夜行われている、地獄の都市バビロン。この都市について考えるにあたって、いったん冷静になって、次の一つの論点を提出しておくのが適当かと思われます。 その論点とは、「バビロン性の濃度不確定性問題」とでも呼びうる問題にほか…

その都市の名はバビロン

マス対コアという永遠の対立は、すでにプラトンが熱をこめてくり返し語りつづけたテーマでもありました。ところで、こうしたものの見方の根底には、「この世はバビロンである」という苦い認識が横たわっているように思われます。 バビロンとは、人間たちの欲…

セルアウトの誘惑

地上的なものにとらわれずに天の真理を求めつづける、哲学の探求者。しかし、私たちはここで、かれに襲いかかる危険のことに注意を払っておかなくてはなりません。 それは他でもない、世間から認められたい、売れたいという誘惑のことです。哲学の領域におい…

真理はお金にまさる

哲学的な思惟なるものは、個人的なディテールを離陸して、普遍的なイデーの大空へと羽ばたいてゆきます。お金という目下のトピックについても、時代と場所を離れた永遠の真理をめざして考えるべきであるように思われます。 さて、いささか月並みなものに見え…

筆者の状況

ある女性漫画家の方が、次のように書いていたのを思い出します。「お金がないのは、首がないのと同じだもの。」なかなか強烈ですが、一度聞くとけっして忘れられないフレーズです。 お台場あたりの海が見えるタワーマンションに住めなくてもいい。表参道の内…

献金について

探求をはじめるにあたっては、たまには具体的なトピックから開始してみるのもよいかもしれません。僕が近ごろ少しだけ頭を悩ませているのは、ほかでもない献金の問題です。 僕が通っている教会では、ほかの数多くの教会と同じように、献金を捧げることは義務…

金よ、この世の苦しみよ

今日からは、恋愛についで、ひとの魂を悩ませるもう一つの大問題について考えておくことにしたいと思います。それは、お金をめぐる問題にほかなりません。 「おお、金よ……。」およそこの世に生きる人間たちの中で、この問題に苦しめられなかった人は、おそら…

恋愛についての考察のおわりに

前回までで、私たちは恋についての考察をひととおり終えました。筆者としては、この後の人生でもう恋に落ちることはないだろうと思っているので、とりあえず、恋というイデーについては、この人生ではこれくらいでいいかなという気がしています。 「生きるこ…

空虚を満たすのは

「完璧なあなた」をめぐる体験を通して若者の心のうちに空いた穴は、何をもってしても埋めることができそうにないほどに大きなものです。 たしかに、哲学や芸術、科学といった、永遠の真理にかかわる仕事、または、命をかけて追いもとめるに値する、他のさま…

かれは真剣だった

失恋の苦しみは、時に耐えられないと思われるほどに大きなものになりえます。しかし、この苦しみの体験が、信仰へのまたとない準備という側面をかんがみるとき、信仰者は、人生というものへの驚異の念にとらえられずにはいられません。 「完璧なあなた」、あ…

畏れなかったことの報い

失恋した若者が、世界も自己もともに崩れ去ってゆく全面的な破壊のプロセスをその身に引き受けざるをえないのは、かれの内にある「完璧なあなた」の理念が、あらゆる存在者を断罪せずにはいないからです。 この段階までくると、もはや事態はほぼ完全に脱性化…

荒野と世界崩壊

若者が「完璧なあなた」の理念に触れたのち、失恋の苦しみをこうむっている時点において、かれは気づかないうちに、すでに神の御手のうちに入りこんでいます。 もちろん、かれは自分の苦しみが、現実のうちにいるあの彼女を失ったことからくると考えているこ…

神はすでにかれをとらえた

「恋の体験は、恋される対象とはほとんど何の関係もない。」このことは、うまくいった恋愛なるものについて考えてみるならば、いっそう理解しやすくなります。 恋愛がうまくゆき、恋の相手と長い付き合いをはじめた場合にいわゆる「最初のときめき」が失われ…

理念的なものの次元

さて、恋の話題に戻りましょう。この体験における最大の逆説、それは、若者が憧れる「完璧なあなた」のイメージは、ある意味で、かれの愛しい彼女とはなんの関係もないということです。 かれは確かに、彼女のさまざまな細部をかぎりなく大切にしておこうとし…

Appedix : 永遠に女性的なるもの

ところで、実在の探求というテーマについては、今回の話題とも関連しますが、ひとつつけくわえておくべきことがあります。 恋する若者は叫びます。「真に実在するもの、それは〈彼女〉である!」この叫びがある意味で厄介なのは、ここには真実の一片が含まれ…

霊と肉

もしも、ひとを天上に向かわせるものを霊と呼び、地上に引きとめるものを肉と呼ぶならば、恋の体験においては、霊と肉とが分かちがたいしかたで混じりあっているといえます。 恋の体験における愛しい彼女は、その存在論的なステータスにかんして、二つの極を…

堕天使崇拝に抗する

悪魔なるものの由来を考えるならば、恋愛の秘密にもすぐに納得がゆきます。信仰の言葉によるならば、悪魔とは堕天使、つまり、天から追放された天使のなれの果てであるというのです。 恋する若者にとって、愛しい彼女は、堕天使とまったく同じ存在論的ステー…

完璧なあなた

失恋のさなかにある若者が、それこそ身を切り裂かんともいわんばかりの苦しみに悩まされつづけるのは、かれに「完璧なあなた」のイメージがいつまでもつきまとわずにはいないからです。 悪魔的な彼女自身は、あくまでも人間にすぎません。ルー・アンドレアス…

現実否認はつづく

悪魔的な彼女にとっては、告白する前の若者はよい獲物でしたが、告白した後にはたんなる食べかすくらいの存在にすぎません。 人道上、まことに許しがたいことですが、かれとしては、もうこの事実を認めてしまったほうがずっと楽になれることは間違いありませ…

勝負の終わり

この世においては、至福を長く味わうことは許されていません。恋の終わりは、若者にとってはあまりにも早く訪れることになります。 その理由は、恋したことのある人ならば誰でも知っているように、恋においては、「先に恋に落ちてしまった方が負け」というル…

内部性の恋

恋の話に戻りましょう。愛しい彼女にすべてを捧げた若者には、ほんの少しのあいだだけ、天国にもひとしい至福の時間を過ごすことが許されます。 この時期のことは後からふり返ると、まさしく夢のようにしか思われません。それというのも、恋とは、1%の至福…

失敗する運命だったのかもしれない

「ファム・ファタルではなく、賢者に憧れればよかったのに。」しかし、考えてみるならば、青春に向かって大手を切って進んで行く若者にこのことを期待するのは、いささか無理があるというものかもしれません。 どうも、私たちの人生は、自分で失敗してみなけ…

賢者に恋をすればよかったのに

もしも、若者がソクラテスのような人に恋をするならば、かれにはまだ救いの可能性が残されています。ソクラテスのような賢人は、若者を真理の探求へと駆り立てずにはおかないからです。 賢者は、かれに次のように言うことでしょう。「君は、わたしのうちに君…

悪夢よ、パロディーよ

若者がひとたび愛しい彼女にぞっこんになってしまうならば、もう、ほかの誰の言葉もかれの耳には響きません。 それというのも、かれの無意識の心は、彼女への偶像崇拝の熱情によって支配されているからです。黒い髪の悪魔は、すでにかれの主権を完全に掌握し…

「どう見ても、天使にしか見えない」

振り込め詐欺なる犯罪については、近年になって、いたるところでその危険が喧伝されることになりました。その一方で、ファム・ファタルによって行われる魂の搾取については、あまり取り上げられることがありません。 若い男性たちにとって、悪魔的な女性の存…

ファム・ファタルを警戒しよう

それにしても、偶像とか悪魔という言葉を不用意に用いてしまうと、当の女性たちにたいしてあまりに礼を失することになるのではないかという恐れがあります。 したがって、ここからはさらに対象を限定してゆくことにしましょう。すなわち、「今回の探求では、…

まずもって、祈りが必要である

近代という時代は「愛しい彼女」という偶像を崇拝するにいたってしまいましたが、この時代が決定的に終わりを迎えたことがいよいよ明らかになりつつある今、もしかすると、偶像のたそがれもそう遠くないのかもしれません。 しかしながら、およそ偶像崇拝なる…